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キャシー・松井 闘病後に訪れた心の変化と目指す道

2018年5月10日

「生かされている」今、女性の背中を押せる存在になりたい

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 ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー・松井さんのキャリアの軌跡。初回「日系移民の両親から学んだ大切なこと」、第2回「迷いの転職から昇格するも乳がん罹患」に続き、今回は最終回。闘病を経て社会貢献を考えるようになった心の変化と行動についてお聞きしました。

闘病を経て、「大切にしたいこと」にも変化がありました (C)PIXTA

 人生には予想もできないことが起こります。そして、困難に直面して初めて分かることがある。36歳で乳がんを患い、闘病したことで、私の“大切にしたいこと”にも変化がありました。

 それまで以上に、家族と過ごす時間を持つようになりました。朝は子供をバス停まで送り、夕食もなるべく一緒に。長女とは料理を楽しんだり。節目の学校行事には必ず参加しましたが、それでも仕事で行けないことがあると、娘からは「寂しい」とよく言われました。友達の専業主婦のお母さんと比べて、「なぜうちのママはこんなに仕事しているの?」と思っていたようです。確かに、家でもヘッドホンをつけて、ニューヨークやロンドンとつないでの電話会議をしながら子供をお風呂に入れることもよくありましたから、そう思われても仕方ありません。

 仕事と子育てとのバランスは全く取れていなかったと思います。一方を優先すると、もう一方が犠牲になる。子供に対しては常に罪悪感がありましたが、仕事も子育てもどちらも大切にしたいこと。バランスを取るよりも、自分なりに日々を乗り越えるのに精いっぱいでした。

 病気を経験して、子育ての考え方も変わりました。私はそれまで、「いい教育を受け、いい会社に入り、結婚して、家族をつくることがいい人生」だと信じ、自分の子供にもそうしてほしいと思っていました。でも、何がいい人生かは人それぞれ。今、子供たちには、「自分のやりたいことを学びなさい。そして何かひとつ、自分が生まれたときよりもいい世の中になるようなことをしなさい」と伝えています。

 では、私自身はどう生きるのか。病から“生かされた”私は、ずっとそのことを考えていました。クリスチャンである母からは、「手にしたものを寄付すれば、心が豊かになる」と言われていました。アメリカでの農園経営で成功し、60歳から始めたラン栽培でビジネスを拡大した父は財団を設立。チャンスをくれたサリナスの町の高校生に、大学進学の奨学金という形で恩返しをしています。私にできることは何か…。

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