「こんばんは、クローズアップ現代です!」。1993年の放送開始からこの3月まで、NHK『クローズアップ現代』のキャスターを務めてきた国谷裕子さん。毎週月曜から木曜の夜の生放送に23年間、出演し続けた。社会、経済、政治…時代に対する新たな問題提起を伝える国谷さんの熱のこもった言葉は、見る者の姿勢を正す力強さに満ちていた。
NHKで長く仕事をしてきたが、一貫してフリーランス。今でこそキャスターとして揺るぎない評価を得ているが、それを獲得するまでには、長い「キャリアの迷子」の時代があった。
「華々しいキャリアの女性に憧れたことも、目指したこともなく、ずっと“ご縁のあった場所”でふわふわと仕事をしていたんです」。20代の頃は、今の言葉でいう“意識高い系”では全くなかったという。