スマートフォン向けアプリや家庭用ゲームソフト、業務用ゲーム機など幅広くエンターテインメントコンテンツを開発・展開するバンダイナムコエンターテインメント。2015年春、同社で女性として初めて取締役に就任したのが、宇田川南欧さんだ。41歳という若さで受けた打診には、本人も「思わず社長に『早くないですか?』と返してしまった」と笑うが、周囲の誰もが認める実績を残してきた。

4年で3倍の業績アップをけん引 社内の信頼も厚い

 06年からネットワークコンテンツにかかわる部門のマネジャーとして実績を重ね、ガラケーからスマートフォンへとユーザーが利用するデバイスやプラットフォームの変化に対応しながらコンテンツ事業の成長を牽引してきた立役者。2011年には335億円だったグループにおけるネットワークコンテンツ事業の売り上げを、2015年度は980億円見込みと、4年で3倍にまで伸ばしてきた。

 役職や実績からいかにも“ネットワークの専門家”という印象を受けるが、キャリアの出発点は「インターネットもまったく知らないゼロからのスタートだった」という。屈託のない笑顔が放つ明るいオーラからは、いかにも“バリキャリ”という空気を感じさせない。インタビュー中、通りかかる社員のひとり一人と交わす会話から、社内で集める信頼の厚さも伝わってくる。「役職が上がるほど、仕事はやりやすくなった」と語る宇田川さんの笑顔はいたって自然体だ。

入社当時は腰かけに思われないよう、「10年は辞めずに頑張ります!」

 短大の生活科学部を卒業後、「商品を身近に感じられるメーカーで仕事がしたい」とバンダイに入社。とりわけ玩具に興味があるわけでもなく、当時バンダイが目指していた新規事業の創出にかかわる分野で力を発揮したいと考えていた。

 「入社してしばらくは『10年会社を辞めずにしっかり働きます』とあちこちで言って回っていました。そう言わないと“腰かけ”に思われるくらい、チャラチャラして見られるタイプだったので(笑)。商品開発管理業務のほか、新規流通開拓のための商品化の仕事は、“誰もやっていない仕事”でしたが、面白かったです」