大事なことは「自分の物差し」でシミュレーションすること。例えば地方と東京ではかかる生活費に差があります。地方に住んでいるのに、東京で老後を過ごすのに必要な金額を聞いて不安をあおられている人もいます。衣食住といいますが、自分が、着て食べて住むために最低限いくらかかるかを把握してください。

 そして、この支出を賄うための「入」の部分を把握することですね。一つが公的年金。二つ目が退職金や企業年金。これはもらえる人ともらえない人がいますね。そして3つ目が自分が現役時代から続けてきた貯蓄から入る利子や投資信託の利益など。さらに定年後も働いで収入を得ることです。

安原 井戸さんはファイナンシャル・プランナーとして定年退職後の方の家計をたくさん見てこられて、だいたいご夫婦で1年間に100万円くらいの赤字になっているケースが多いそうですね。

井戸 そうなんです。ですから定年後も月8万円の収入があれば、だいたい老後の赤字は無くなるんです。

安原 月8万円稼げる仕事を探すと。「これくらい稼げればいい」という目安が具体的になるとちょっとホッとします。

井戸 ご夫婦なら2人で8万円稼ぐことを目標にしてもいいわけです。大江さんは定年後に起業されましたね。

大江 起業というと大げさに考える人もいるのですが、私の場合は無理をせず、借金は絶対にせず、身の丈で、自分の過去の経歴や経験を生かして月に3万円でも5万円でも稼げればいいというスタンスです。退職後、1年くらいはほとんど仕事がなかったのですが、おかげさまで今は忙しくしています。

安原 定年後も何らかの方法で働いて収入を得ることが、あらゆる老後不安の解消に役立つというのがお二人の意見ですね。でもどうやって仕事を探せばいいのか…。現役時代早めにやっておくべきことはありますか?

井戸 もちろん、あります。40代からぜひ取り組んでおきたいことを次回は紹介しましょう。

第2回:稼げる! 豊かな老後のために人付き合いの貯金を

文/坂本綾子 写真/洞澤佐智子


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