「まずは老後に本当の意味で関心を持つことから始めましょう」と大江さん
「まずは老後に本当の意味で関心を持つことから始めましょう」と大江さん

井戸 退職金がいくら出るかとか、勤務先に企業年金制度があるかどうかもよく分かってない方も結構いらっしゃいます。

大江 老後が不安だ、不安だと言いながら、実はみんな老後に無関心なのですよ。まずは関心を持つことからですね。

井戸 やるべきことをしないまま「不安」を口にするのは、ちょっと考えが甘いかも。自分の公的年金の見込額を確認することは、そんなに大変なことではないですよ。ご自身の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」をぜひチェックしてみてください。見方が分からないというお悩みをよくいただくので、例えば50歳未満の方の「ねんきん定期便」をご紹介しますね。50歳以上の方の場合の見方や年金の見込み額の計算方法は『定年男子 定年女子』で詳しく紹介しています。

安原 その見積もり通りの金額が出ると思っていていいのですか?

井戸 現在30~40代の会社員の方は、今の水準から将来は3割くらい減るかもしれません。厳しく見積もったら4割減。仮に公的年金の見込み額が月15万円なら、その3~4割減を覚悟して、月9万円から10万円ちょっとということになります。これで定年後の生活をシミュレーションしてみて、毎月いくら足りないのか、足りない分をどうやって埋めるかを考えます。

ねんきん定期便をチェックすると「足りないお金」が見えてくる
ねんきん定期便をチェックすると「足りないお金」が見えてくる

大江 不安を解消するには、不安の正体を知るのが一番です。定年後のお金の「入」と「出」を一度計算してみること。私の場合は定年前後の3年間、夫婦で家計簿をつけました。実際にすでに定年した私が言うことですから間違いないことですが(笑)、実は定年後の生活にはそれほどお金、かからないんです。図書館で本を読んだり、現役時代に買い込んだまま聞けなかったCDを聞いたり。お金をかけずに楽しめること、たくさんありますよ。

井戸 時間があるとお金は使わなくてすむものなんです。忙しい現役時代は、いわばお金で時間を買っているんですよね。ただし、手持ちのお金が少ないと、我慢はしなきゃいけない。自分がこうありたいと思う生活からは遠くなるかもしれない。だから、やっぱり最低限の計算はして、準備はしておきたいです。