赤は「真紅」だけじゃない! いろんな赤を試して

――赤と聞くと、まず「真紅」を想像してしまいます。

 「赤い口紅=真紅」と思うと派手すぎる色だと心配になるかもしれませんが、青みがかった赤、エンジなどいろんな赤があります。テクスチャーも、マットなのか、艶があるのか、シアーなのか、ベタッとつくものかなど、さまざまなタイプがあります。付け方にしても、輪郭を取るとかボカすとか、いろんな方法があります。色やテクスチャーの選び方、塗り方を、着る服や自分のイメージによって変えると、なじむと思いますよ。真紅と思って敬遠してしまい、こんなに簡単に美人になれるアイテムを手放してしまうのはもったいないです。

 一度トライしてみて、どうしたら似合うようになるのか、もっと他の色を試してみようかと考えることが美人への道にもつながると思います。

――口紅を一本買うと、どんなメイク、洋服でも同じ口紅を使ってしまうという人がほとんどではないかと思います。

 口紅も洋服によって着替えた方がいいですよ。私が最後まで使い切ったのは今までに数本くらいではないでしょうか。これは違ったと思って途中で使うのをやめてしまった色がいくつもあります。封を開けてから2年くらいは使えると思うので、5本くらいそろえても、無駄になることはないと思いますよ。

 普段ベージュピンクを使っている人は、赤を買い足して、混ぜて使ってもいいかもしれないですね。40代になるとベージュピンクだけを使うと顔が疲れて見えるので。赤を指にとって、ぼかしながら付けていくと、少し血色感が出ます。

赤い口紅を付ける練習を

 本にも書いていますが、赤い口紅を付ける勇気がなければ、家の中で付けてみたりして、赤い口紅を付けている自分に目を慣らす(笑)! 時々家の鏡に映った自分の表情を確認するんです。それでも外でつけるのはちょっと…という人は、ポーチに1本入れておくだけでもいいと思いますよ。女性としての意識が持てますし、いざという時の「お守り」になるんじゃないでしょうか。

――美容雑誌を眺めて勉強するだけではなく、実際に付けて練習したほうがいいんですね。

 私は仕事柄、プロのメイクさんに接する機会が多いので色々と情報が聞けるのですが、皆さんは美容院のスタイリストさんや化粧品カウンターでアドバイスを受けるのもいいと思いますよ。ピチカート・ファイヴにいた10年間はいろんなメイクに挑戦しました。基本的にどんなものでも勧められたらやってみる。後で微調整する場合もあるけれど、とりあえず任せます。

 迷ったり、自分で決める自信がなかったりする時は、プロに手に委ねるというのは一つの手だと思います。似合わないと思い込んでいたものが、意外と似合ったりするんですよ。新しい自分を発見できるきっかけにもなると思います。

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 後編は、野宮さんに、春メイクやファッション、美の秘訣について伺います。

 後編・野宮真貴さん「大人に大切なのは、赤い口紅と笑顔」

文/樋口可奈子 写真/小野さやか