2017年も、政治に芸能界に大きな出来事が次々と起きました。その中から、ネットニュース編集者・中川淳一郎さんが最も注目したトピックスについて語っていただきます。後編である今回は、皇室、元SMAP、今年中川さんが一番「明るい」と思ったニュースや、年間MVPニュースを紹介します。

 *前編はこちら 「中川淳一郎が振り返る 今年、爆発しちゃった女たち

中川淳一郎

1973年東京都生まれ。97年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)に配属。2001年、もはやサラリーマンは無理だと悟り無職になる。そこからさまざまな人との縁からフリーのライター・編集者に。現在は、「NEWSポストセブン」の編集など、ネット上のコンテンツの編集業務を主な仕事とする。著書に「ウェブはバカと暇人のもの」(光文社新書)、「電通と博報堂は何をしているのか」(星海社新書)など多数。

 今年は、秋篠宮家の長女・眞子さまのご婚約や、次女の佳子さまの留学など華やかな皇室のニュースが世間をにぎわせた。今の皇室は、日本の歴史上最も愛されている皇室ではないかと思う。

 5月にご婚約のニュースが駆け巡った眞子さまは、お相手の小室圭さんの丁寧な言葉遣いや立ち居振る舞いといった「丁寧臭」と小室さんの収入ばかりが取り上げられたが、どう考えても二人の関係性では眞子さまのほうが強い。

 オレは、最初にこのニュースが流れた時、町でインタビューされた若い男の子がすごく好きだ。

 街頭インタビューでみんなが「おめでとうございます」と言う中、渋谷駅前でその大学生のような男の子は、「マジでショックです」って驚いた顔を見せた。受験期に、眞子さまを携帯の待ち受けにしていたとかで、最後にニコッと笑って「でも幸せならOKです」って親指をぐっと立てた。かわいい顔をした男の子で、その画像がネットで広まって、「これぞ真の日本男児」みたいに絶賛された。この様子を見て、今の日本国民の皇室に対する愛情を実感した。しかも後になってJタウンネットが彼にインタビューをしたりして、それだけ多くの人が彼のことが気になったのだろう。

 一方、佳子さまのネット記事はページビュー(PV)がめちゃくちゃいい。編集を担当している「NEWSポストセブン」では、ある時3日連続で2本ずつ佳子さまの記事を掲載したんだけど、最終日にはアクセスランキングトップ15の記事に6本全部が入っていた。

 ネタはたわいなくていい。2015年に入学した国際基督教大学(ICU)では水泳が必修なんだけど、プールがガラス張りなので佳子さまの水着姿をパパラッチに撮られる心配があるとか、「佳子さまの『セクメ』になりたい」という声が多数上がっているとか(セクメとはICUの学内用語で、セクションメイト=クラスメイトのこと)、記事をどんどん出していった。

 秋篠宮家だけではなく、天皇陛下も、若い人の間では「かわいい」と評判だ。オレたちの世代(40代)だと、天皇というのは高いところにいるような威厳のある存在だけど、今の若い人たちの感覚は全く違う。

 昨年8月に天皇陛下が、生前退位に関するお気持ちを国民にビデオメッセージで表された時のこと。ビデオの公開直後からツイッターには「かわいい」というツイートがあふれた。「こぢんまりとした、かわいいおじいちゃん」というふうに受け止められていたようだ。オレたち以上の世代だったら不敬じゃないかと考えちゃうけど、皇室との距離感が全然違う。先の、眞子さまを待ち受けにしていた男子も、今の若者ならではの感覚だ。

 一方、今年は、9月にジャニーズ事務所とのマネジメント契約を終了した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾も話題になった。(※「なぎ」は弓へんに剪)