「めちゃイケ」も終了 ネットとテレビの今後の関係は

「ネットのほうが強い、というふうに世間は見てしまいがちですね」
「ネットのほうが強い、というふうに世間は見てしまいがちですね」

 若い人はテレビを見ないのがカッコよかったりする。テレビ、パソコンはダサい。スマートフォンだけでいい、という感覚だ。そもそも若者は、新しいものを褒めて、古いものをたたくと、自分がイケていると思う傾向がある。昔、ザ・ドリフターズの番組を見ているより、「オレたちひょうきん族」(1980年代にフジテレビ系で放映されたお笑い番組)を見ていたほうがかっこいいということがあったけど、それと同じ。2018年3月に長寿番組だった「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ系)が終了するが、「『めちゃイケ』終わったっていいよ」と若者に言われても、テレビ局はほぞをかむしかない。

 東日本大震災の時も一番頑張って情報を届けたのはテレビと新聞と通信社なんだけど、被災者への配慮が足りないなどと言われた。一方で、ツイッターで支援の輪が広がったなど、ネットの力はすごく支持された。今の時代は、ネットのほうがすごいという方向に世間の目にバイアスがかかっている。

 元SMAPの番組で注目されたAbemaTVの問題点について関係者が語っていたのは、チャンネルがすごくいっぱいあることなんだって。普通の地上波の民放だと平均1時間の番組を24時間放送したとして、1日24本の番組があればいいわけだけど、AbemaTVには1日何百本という番組がある。将棋とか麻雀とか、ただ流しているという番組やアニメーションの再放送などが多い。

 テレビだと月曜日と木曜日の9時にドラマがあるとか、9時からNHKのニュースがあるとか時間帯のイメージがあるけど、AbemaTVではいつ何をやっているのか把握できない。

 AbemaTVをテレビ朝日と共同で立ち上げた大手IT企業サイバーエージェントの藤田晋社長のもともとの構想は、全民放があのプラットフォームに入ってくることだったとも聞く。でも実際には、他局が別のインターネットテレビのプラットフォームを持っていたりして、それは難しい。

 AbemaTVが変わるとしたら、きっかけは地方局じゃないだろうか。

 地方局はだいたい、民放キー局5社から番組を買っていることが多く、独自で面白いコンテンツを作る力が弱いところが多い。ただ、大阪、名古屋、福岡といった制作能力のある地方局のどこかがAbemaTVを頼ってくるようになったら、キー局では見られない面白い番組があるとなって、道が開けるかもしれない。

 さて、2017年にオレが注目した話題としては、美術家のろくでなし子の出産も挙げたい。今年一番の明るいニュースだ。3Dプリンターで自分の女性器をかたどったアート作品のデータを他者に提供したなどとして逮捕された彼女だが、今年2月に44歳で男の子を出産した。相手は世界的に人気のある、イギリスのロックバンド「ザ・ウォーターボーイズ」のマイク・スコットだ。

 マイク・スコットは逮捕のニュースが世界配信されたのをきっかけに、なんてロックな女なんだと彼女の活動を支持。「ROK ROK ROKUDENASHIKO」という曲を作ったりして、交流を深め、本人にも会い行った。それでお互いほれちゃって、2016年秋に結婚。今は、アイルランドの首都ダブリンで子育てをしている。

 ろくでなし子は、逮捕のニュースが世界に流れたのが出会いのきっかけなので、「縁を結んでくださった警察に心より感謝いたします。結婚式にはわたしを起訴した検事さんやお世話になった刑事の皆様にも来ていただきたいです!\(^o^)/」とツイッターでつぶやいた。

 彼女は今、一番強い女じゃないかと思う。ネット上でずっと表現規制のことや過激なフェミニストなどとけんかをしていて、現在の社会状況に異議を唱えていた。ろくでなし子を黙らせようと、ツイッターでバトルが仕掛けられたりするんだけど、全く負けない。警察の取り調べのほうがきついわってうそぶく。

 彼女は天性の、底抜けの明るさがある人なんだよね。今年4月に東京高裁で一部無罪確定の判決が出たときも、天真爛漫(らんまん)な笑顔を見せていた。

 さて、今回は、来年がどんな年になるのかも考えてみた。