「しがらみのない政治」が明らかにしたこと

鹿島 小池百合子さんの「しがらみのない政治」という言葉は耳心地がよいのですが、「しがらみのない人っている?」と思ったんです。国会議員にも派閥などがあり、関係性で成り立っています。小池さんのプロフィールをたどると、もともと日本新党で、新進党、自由党、保守党、自民党と渡り歩いているわけですよ。目先においしい話があれば移ってしまう、調子のいい人なんですよね。そういう人から見れば、しがらみはないだろうと思います。

「『しがらみのない人っている?』と思ったんです」(プチ鹿島さん)
「『しがらみのない人っている?』と思ったんです」(プチ鹿島さん)

 しかし、いざ新党を立ち上げてナンバー2、ナンバー3となったのは若狭勝さんや細野豪志さんでした。小池さんのように90年代から政治家を20年以上続けていれば、自分のために派閥を担いでくれるような同志や横の関係の議員仲間がいるはずですが、そうではなかった。その時々で大衆人気に支えられてきたからごまかせたけれど、国政に復帰して総理大臣を目指すのは無理でした。

 小池さんは都知事になった瞬間から、国政復帰を狙うスケベ根性があったと思うんです。しかし、排除発言が出て少し人気が落ち、都知事に専念せざるを得なくなりました。ただ、あと2年3年専念すれば、また盛り返す可能性があると思うんですよね。やっぱり政治の流れを読む力はある方だから、「あの時、専念してよかったね」と言われるくらいのチャンスは巡ってくるのかなと思います。

流行語大賞はおじさんに届いた証拠

――上半期の振り返りでもお話しいただきましたが、今年の流行語大賞に「インスタ映え」が入りました。

鹿島 6~7月ごろ、新聞各紙が一斉に「インスタ映え」関係のネタを放り込んできました。ナイトプールの存在を知って「プールに入るのに泳がない?」「写真を撮るだけ?」と思ったおじさんの戸惑いとともに、「インスタ映えがブームらしいぞ」となったのです。

 流行語大賞は、おじさんに届いた言葉の発表会だと思うんです。だから発表を受けていつも、「そんなの流行(はや)ってないよ」というリアルなネットの反撃がある。そこまでが流行語大賞なんです。そういう意味で、インスタが流行していることにおじさんが気付いたのが今年でした。

 忘年会や新年会では、おじさんが「インスタ映えするね」とか言ってきて面倒臭いと思うんですけど、温かい心でスルーしていただければと思います。おじさんの所作を楽しむくらいの気持ちで、「来た来た」と心で楽しむ。

 ニュースについても、来年以降も情報がたくさん出てくるわけで、受け手の度量が求められると思います。政治家の不倫に怒るのも分かるけど、もっと怒ったほうがいい問題もあるわけですから、そのへんのバランスを見極めることが大切です。

聞き手・文/飯田樹 写真/竹井俊晴