不倫報道から見えた危機管理の力

――10月の衆議院選挙では、山尾志桜里さん、豊田真由子さん、小池百合子さんなどの動向に注目が集まりました。一人ずつ解説していただけますか。

鹿島 衆議院選挙になった要因の一つに、山尾志桜里さんの件があると思うんです。芸能人の不倫やスキャンダルと一緒にしてはいけないのですが、変な話をすると、政治家はエネルギッシュだから、下半身もエネルギッシュだと思っているんですよ。人のため、国家のために何かするというのは、有り余るエネルギーがなければできません。だから、そこに関してはいろいろ言いたくないんです。その代わり、容易にツッコまれることはするなと思います。会うなら誰もいない料亭で、こっそり会ってほしいんです。

 山尾さんの件でショックだったのは、民進党幹事長に内定した夜にホテルで写真を撮られていたことでした。本当に付き合っているかは分かりませんが、状況証拠としてうかつです。政治家なら、もっとずる賢くいてほしいんですよね。

 それは政治家の危機管理能力でもあります。リーク元は同じ党の仲間かもしれないわけです。若くて、待機児童問題で注目を浴びて、幹事長に内定。自分が嫉妬されるかもしれない階段を駆け上がっている自覚と危機管理能力がないですよね。そうでなければ、写真を撮られるような環境条件は出さないと思います。ツメの甘さが出てしまうところが政治家として重要な点で、不倫そのものに怒るよりは、そういうところを見たほうがいいと思います。

「政治家なら、もっとずる賢くいてほしい」(プチ鹿島さん)
「政治家なら、もっとずる賢くいてほしい」(プチ鹿島さん)

「このハゲー!」の裏に見る政治の現実

鹿島 豊田さんに関しては、「このハゲー!」といった暴言が面白おかしく報道されているのですが、暴言の出た状況を見て、絶望的なことがあると思いました。あの暴言は、豊田さんの秘書が地元の支持者に送るバースデーカードの宛先を間違え、そのおわび行脚に回っている車内で出たんです。自分の政治活動が終わってから、秘書と一緒に車で地元を回っていたわけですね。

 豊田さんは東大卒で、文部科学大臣政務官を経験して教育問題を扱っていて、政策にも優れている人なんですよ。その人ですら、バースデーカードを送って支持者を喜ばせなければならない。間違えたら夜でも駆け付けて、「申し訳ありませんでした」と支持者のご機嫌を取らなければいけない。日本の選挙が、いまだにこういう土着のドブ板選挙なのだということは、語られたほうがいいと思うんですよね。

 だから、政策だけやっていればよかったのに、疲れて「このハゲー!」と言ってしまう。あれはよいとは思いませんが、そういう状況を思い浮かべると、面白おかしく言葉だけで消化してしまっていいのか、もっと根深い現実があるのではないかと思います。