テレビ vs. ネットの構図はなぜできる?

――元SMAP3人による「72時間ホンネテレビ」がネットテレビのAbemaTVで放送されました。

鹿島 オヤジジャーナルを見ていると、「テレビの危機」みたいな論調になるのですが、それはどうなのかなと思うんです。

 必ずしもテレビに飽きた人がAbemaTVを見ているとは限らなくて、AbemaTVを見る人はテレビ好きな人だという分析も出ていました。僕もAbemaTVには出ていますが、「テレビやばい、次はネットテレビだ」という二極化した話ではなく、選択肢が一つ増えたのだと思います。実際、AbemaTVはテレビ朝日が共同出資していて、テレビのノウハウで作っているわけです。そういう意味では、元SMAPの3人も選択肢の一つを利用しているだけで、地上波テレビで活動することも視野に入れていると思いますよ。

――「地上波テレビ vs. ネットテレビ」という構図が作られるのはなぜでしょうか?

鹿島 分かりやすいからでしょうね。僕の実感では「テレビの危機」と言われている間は、みんなテレビを見ています。

 最近、「新聞の危機」とは言われませんよね。それは、新聞を読まなくなったからですよ。週刊誌とかで新聞の危機と言われていたのは、10年~15年くらい前です。読まないのが前提になってしまったから、新聞界にとってはピンチだと思います。

――それと比べれば、テレビはまだ注目されていそうです。

鹿島 「シン・ゴジラ」が地上波で放送されて、SNSであれだけ共有されました。同じ時間に何かを見ているというお祭り感を出すことは、まだテレビでしかできません。テレビとSNSが相変わらず親和性が高いと証明されたわけです。

 その流れで言うと、大みそかの紅白歌合戦も息を吹き返した印象があります。オヤジジャーナルも、紅白に乗っかる記事が多いんです。なぜかというと、大みそかのあの時間帯は、結構みんな紅白を見ているから。SNSでつぶやきながら、ツッコミの対象として見られるようになったことで、紅白が息を吹き返しました。でも最近は、民意に寄り過ぎている感じがするんですよね。昔ながらの紅白でいたほうが、ツッコまれて視聴率が高くなると思います。「ツッコまれる」「つぶやかれる」というのは、テレビのキーワードですね。

聞き手・文/飯田樹 写真/竹井俊晴

 プチ鹿島さんによる2017年下半期のニュース解説・後編は明日公開予定です。どうぞお楽しみに!