男VS女という対立ではない。では、何なのか?

 これは単なる「男VS女」という二項対立ではありません。

 「心身の限界まで働くことが正義である」「女は女らしく、可愛げのある容姿や態度でいるべきだ」「新人はどんなしごきにも耐えろ」という価値観を当然のこととして他者に押し付ける人々と、それに対して声をあげることもできず壊れるまで適応しようとしてしまう人たちとの、とても理不尽な関係なのです。

 女性であってもそのような「常識」を押し付ける人はいますし、男性であってもその「常識」に押しつぶされて辛い思いをしている人はいます。

 世界経済フォーラムの調査でも指摘された日本の男女の著しい所得格差ですが、従来のような私生活を犠牲にした男性のような働き方がスタンダードである限りは、決してその差が埋まることはないでしょう。

 男性にとっても女性にとっても、家庭や私生活を犠牲にした働き方はもう到底持続可能なものではないのです。それを共働きで家計を支えている今の30代40代の人たちの多くは実感しているはずなのに、依然として制度が、そして「常識」が変わらない。

 男性も女性も、長時間労働と理不尽なハラスメントに耐えることが有能さの証、という風潮は日本の社会に浸透しています。なぜでしょう?