人生は七色、自分なりの七色になればいい

 人生は七色、自分なりの七色になればいい――。そう考えられたことで、テレビのお仕事を辞め、学生に専念。仕事はあくまでも最低レベルの生活ができるまで減らしたのです。

 当時の私は大学院生という立場で、自分がどこに向かっているのか分からなくなることがたびたびありました。自分で行きたいと思って大学院に進んだものの、その経験が自分の仕事にどんなふうにつながっていくのか確たる道筋を描いていたわけではなかったし、うまく言えないのですが、「自分が何を、どうしたらいいのか」が分からなくて、無性に不安でした。

 そんな状況で出合ったスーパーの「キャリアとは人生のある年齢や場面のさまざまな役割の組み合わせ」という考え方に、私の心は揺さぶられた。

 今は「学生」として目の前のことを一生懸命やればいい。時には「学生」を離れて家事を一生懸命やって「家庭人」を全うし、またある時には、大好きな人のために料理を作って「彼女=その他の役割」を演じたり、ボランティアに参加して「市民」になったり。七色の虹のごとく、いろいろな色で自分の人生を彩ればいい。

いろいろな色で自分の人生を彩ればいい (C) PIXTA
いろいろな色で自分の人生を彩ればいい (C) PIXTA

 すべてがキャリアなんだから。そうすることが「働く人」としての仕事にもプラスになる。

 そう考えたら、少しだけ楽になった。人生を楽しめるような気がしました。

 そして、もっとそういう世の中になれば働く人たちはもっとイキイキと働ける。そう感じたのです。

 もし、あなたが「しんどさとやりがい」の板挟みに遭っているなら、あなたの七色をちょっとだけイメージしてみてください。今、がむしゃらに「赤」に固執するだけがキャリアではない。キャリアには、緑も黄色も紫も青色もある。時には手を抜いたり、離れてみたり、自分で制限をつけることなく、もっと自由に自分なりの七色を輝かせてください。

 そして、もし、あなたの周りに「ストレスの雨にびしょ濡れになっている人」がいたら、「雨に濡れてるよ」と教えてあげてください。「ちょっと雨宿りしようよ」と促してください。そして、あなたの傘を差し出してください。

 人はストレスの雨に濡れ続けていると、SOSを出すことさえ忘れてしまいがち……。

 あなたにも救える命があることを忘れないでいただきたいのです。

文/河合薫 イラスト/PIXTA