情報に溺れないようにするには

――ご著書「芸人式新聞の読み方」の中でも情報との向き合い方について語られていますが、読者はどんなことに気を付けてニュースを見るべきなのでしょうか?

鹿島 僕は新聞を「おじさんが発信しておじさんが受信する古いメディア」だと思っていました。最初は、「おじさんが何に注目しているのかを見てやろう」というつもりで読み始めたのですが、新聞によって立ち位置が違うことを発見し、読み比べることの面白さに気付いたのです。

「新聞によって立ち位置が違う。読み比べることの面白さに気付きました」(プチ鹿島さん)
「新聞によって立ち位置が違う。読み比べることの面白さに気付きました」(プチ鹿島さん)

 フェイクニュースやポスト真実など、分かりやすくて刺激のある情報が氾濫するときほど、新聞は信用できると思います。新聞には毎日取材して裏を取っている人がいて、主張は各社で違っても嘘は書かないし、誤報があれば訂正します。ですから、新聞でそのニュースの前提を踏まえた上で、刺激の強いニュースを楽しめばいいのです。トランプ大統領の件は、この時代の生きた教材になると思います。

 また、トランプ大統領が行うことは刺激的なので、スポーツ紙や週刊誌との相性が良いのも特徴です。例えば、4月の頭にシリア攻撃がありました。これについて「東京スポーツ」は、娘のイヴァンカさんの影響でトランプ大統領が行動したとして、最後は「金正恩の命運を握るのは娘・イヴァンカ」と結んでいました。これは東スポならではの刺激的な話法です。僕は東スポがそういう話法であることを踏まえて楽しんで読んでいました。

 一方で、読売新聞や朝日新聞を読んでいると、中国はイヴァンカ夫妻に気に入られることで、トランプ大統領に心を許してもらおうとしている、といった情報が出てきたのです。すると、東スポの記事があながちオーバーではないことが分かります。ある意味で、どんどん東スポに近づいている大統領なのです。