国会議員の仕事は法の整備

 本人はブログで、「“男性の育休取得の促進のために一石を投じる”ことを目的とした」とし、宣言のあとには、自民党の若手国会議員10人で「男性の育児休暇取得を推進するための勉強会」を開き、「男性の育休取得は国会議員が率先して進める必要がある」と語り、休暇に関する規定がない衆院規則の改正を働き掛けていくとの考えを示していたけど、本当にこの人は、一議員として「男性の育児休暇」に問題意識を持っていたのだろうか?

 育休宣言後に、雑誌のインタビューで、「昨年6月に妻である金子議員の妊娠が発覚し、その後妻の体調のケアに関わるうちに育休を考え始めた」としているけど、彼は“一般人”じゃない。彼の“妻”への思いではなく、「法律をつくる」という“議員”のお役目を果たすために、何をしていたのか? を教えてほしかった。

 もし、これが「事故」など予測不能の事態の出来事ならまだ分かる。だが、出産は別だ。

 ある日突然、「大変! 妊娠してた! 来月生まれちゃう~!」となるものではない。ごくごくまれにそういったおっちょこちょいの人もいるかもしれない。だが、彼は少なくとも昨年の「6月」に分かっていたのだ。

 一石を投じるのは多いに結構。それが問題解決の糸口になり、「陰で涙している人たちのため」なることもあるだろう。

 だが、その「一石」が、意味ある“一石”になるかは、それまで「なにを、どうしてきて、あれこれやったけど、まだまだこれで、これこれこうだから、どうしてもこうなった」(ややこしくてすみません)というプロセスがあってこそ。

 宮崎氏は国会議員として、もっともっとできることがあったし、やるべきことがあった。だって、議員。そう、議員なのだ。

 “ゲス不倫”の記者会見では、「男性議員の育児休暇取得にマイナスになったのでは?」と記者に問いつめられ、「女性にだけ、『働け、産め、育てろ』というのは難しい。国会議員が実践することで、社会の空気を変えたかった。育休を取る男性に申し訳ない。一個人として育児に向き合いたい」と答えていたけど、国会議員が実践すべきは、社会の空気を変えることではない。

 時代とともに変化する環境に合わせて、“私たち”が生活をしやすいようにさまざまな法律を整備・改定すること。

 例えば、彼は「育休」ばかりにこだわるけど、「介護休暇」だって問題のはずだ。

 欧米の代理議員制度やペアリング制度は、育児や出産だけでなく、病欠や事故、介護などで、議員が休業するときも認められている。子どもを持つ女性や男性だけじゃなく、シングルの人でも、子どものいない人でも、「平等」に権利が認められており、そういった視点で物事を考えることも、「議員」には必要なんじゃないのか?まぁ、ここまで彼に求めるのは少々酷かもしれないけど……。

 いずれにしても今さらではあるけれど、「なにを、どうしてきて、あれこれやったけど、まだまだこれで、これこれこうだから、どうしてもこうなった」っという点をなおざりにして、宮崎氏の育休に賛成も反対もなかったように思う。

 でもって、私たちの周りでも、今回と同じようなことが起こっているなぁなどと考えてしまったのです。