仕事と育児の両立を不安視する女子大生

 「女性の活躍」の話題となると切り離せないのが「仕事、キャリアアップ」と「出産・育児」との両立の議論です。「出産育児してもキャリアアップするのはできるの?」という不安を抱える女子大生に、ワーキングマザーからのこんな回答がありました。

 「500人規模の企業で、産休を取って時短勤務で復帰している正社員第1号なので、後輩女性からも背中を見られているし、上層部からも『頼むよ』と言われています。そのために、自分自身が不安に思っていることを自分に留めずに、積極的に発信していかなければと思っています」。

吉田 子育てと仕事での活躍は相反するものだとは思ってほしくないです。子育てというのは危機管理、財務管理、全てのマネジメント力を求められるものですから、仕事にも必ず生かすことができます。子育てをして復帰した女性の仕事は実際、素晴らしいものです。

小島 どんな仕事相手よりも、一番話が通じないのが子供です。だから男性には、ビジネス書を読むよりも子育てを経験してほしい。

飯田展久・日経ビジネス編集長
飯田展久・日経ビジネス編集長

飯田 そういう部下がキャリアアップできる上司がいるかどうかというのも大事です。日本の組織では、管理職のスキルが伴っていないため、優秀な部下を持つとコントロールしきれずに管理できないという課題点があります。

――ところで、キャリアアップの話題から、3月でAKB48を卒業するたかみなさんの今後に話題が移りました。

たかみな これからはソロとして歌を歌いたいな、と思っていますが、自分がやりたいことと求められることは全て一致するわけではない。将来設計として結婚も出産も経験したいですが、どうやってバランスをとればいいのか、不安に思うと同時に楽しみでもあります。

女性活躍の先進事例とは

 話題は、女性活躍の先進事例にも及びました。なかでも、7年連続増収増益しているカルビーの事例がクローズアップされました。

 カルビーは、現・松本晃会長の就任後、5年で女性の管理職が3倍以上に増加しています。男女の性別や勤務体系にかかわらず成果を出せば昇進できるという人事の仕組みが女性管理職増加の大きな要因となっています。

飯田 カルビーは執行役員に女性も多く輩出しているし、トップが替われば組織が変わるという事例の典型です。

大臣 どう評価するか、どのように給与へ反映させるかを、時間ではなく、どれだけやったかの実績で踏み込んでいかなくてはいけません。

吉田 成果主義にあたって難しいのは、目標設定とレビューです。ビジネスにおいてはユニバーサルランゲージは数字なので、自分の成果を数字に変えていく必要があります。

評価の難しさやモチベーションの維持について言及するたかみなさん。
評価の難しさやモチベーションの維持について言及するたかみなさん。

たかみな 人気とか握手会での売り上げで成果や序列は分かります。でも、数字を出していない子が頑張っていないわけではありません。そういう子をどれだけ見ているか、そして認めているかというのは常に考えていました。

――たかみなさんも、評価の難しさやモチベーションの維持について言及していました。

「女性活躍」実現のためのキーワード

 「女性の活躍」と一言で表すものの、そこには男性や組織、経営者の意識改革、法整備や運用など、課題が山積みです。それでもなお「女性の活躍」を実現するためには何が大切なキーワードになるのか、パネリストの皆さんが発表しました。

飯田 仕事を任せる 口出ししない。

小島 人それぞれ、その時々。人と同じように働けない、自分自身も昨日のように働けないということがあるかもしれないということを考えるべきです。

たかみな 認める。個性はもちろん、お互いの存在や意見を認めあうことが大事。

大臣 多様性。違いを認め許容する、包摂するということが自分自身にとっても企業や地域、国にとってもプラスになってきます。

吉田 MERITOCRACY(成果主義 実力主義)。ビジネスの観点で、どういう成果をあげているのか。9時17時で頑張れば、あとは好きなように人生を歩めばよいかと思います。

年齢・立場の異なるキーパーソンが女性活躍について激論。聴講者は熱心に聞き入っていた。
年齢・立場の異なるキーパーソンが女性活躍について激論。聴講者は熱心に聞き入っていた。

 今回、幾度となく挙がった「多様性」「ダイバーシティ」という言葉。現代社会を語る上で、このワードは欠かせないものになっています。そのために必要なのは、大規模なITソリューションや改革ではなく、今できることをやる、個々を認め合う、といった単純なことからいうことが討論を通じても分かります。

 最後にたかみなさんが、「『女性の活躍』という言葉はキャッチーだから、一人歩きしているのかもしれない。名前を変えてもいいのでは?」と指摘していたのが、印象に残りました。

取材・文/真貝友香、写真/テレビ東京提供

このトークバトルの模様は、テレビ東京系で放映されます。
・番組タイトル:ゲキ論!女性活躍の真相
・放送日時:2016年2月21日(日) 16:00~17:15
・放送局:テレビ東京系