東日本大震災から5年。震災時は交通手段がなくなり、徒歩で帰宅したり、帰宅をあきらめて職場に留まったりした人も多かったと思います。そのとき、会社で水や食料は配布されましたか? 現在、防災用品が備蓄してある場所はご存知ですか? あなたが必要な常備薬や衛生用品などは、手に入りましたか? 一つでも「NO」なら、次の機会に向けてあなたが準備できることは何でしょうか? そこで今回は、働く女性に役立つ“備蓄”について考えてみましょう。個人用防災備蓄ボックス「そなえさん」を開発した、オフィス家具などを扱う総合商社である内田洋行の女性社員にお話を伺いました。

災害時は無理に帰宅せず安全な職場に留まろう

個人用防災備蓄ボックス「そなえさん」。非常時に必要なものを、デスク下を活用して保管するための収納器具だ
個人用防災備蓄ボックス「そなえさん」。非常時に必要なものを、デスク下を活用して保管するための収納器具だ

 東日本大震災を契機に、“帰宅難民”の問題が浮き彫りになりました。震災時は首都圏の交通機関が麻痺し、職場などから当日の帰宅が難しくなる人が約515万人(内閣府による推計)も発生しました。東京都が2013年4月から施行した帰宅困難者対策条例は、民間事業者に対し3日分の食料備蓄や従業員の社内待機を努力義務としています。

 のちに「そなえさん」の開発に関わる、内田洋行営業本部の大島利佳さんや角田昌子さんも、東京で震災を体験しました。実感としてやはり「落ち着くまでは社内に留まった方が良かった」と思ったそうです。

 「震災時はビルからの避難・帰宅を促されたため、状況を把握しないまま、歩いて帰宅を始めました。家族と安否確認の連絡もなかなか取れず、不安でいっぱいに。今考えてみれば、余震を恐れながら、まったく知らない町で帰宅困難者になる危険を冒すよりは、見知った仲間と安全な場所に留まったほうが精神的にも安定できたはずです」(大島さん)。

 災害時に身を守るもの、そして会社に留まるときに必要な備蓄。自分にとって必要なものは、身近に置いておくことが大切だと実感したそうです。そんな思いから、デスク下での備蓄用ユニット家具「そなえさん」が生まれました。

身の回りに備蓄品を常備しておくと安心

個人用防災備蓄ボックス「そなえさん」
最も身近な避難場所であるデスク下に、非常用の食品や水、個人的に必要な薬などを保管しておける収納庫。ふたのデザインが顔のように見えてかわいい
最も身近な避難場所であるデスク下に、非常用の食品や水、個人的に必要な薬などを保管しておける収納庫。ふたのデザインが顔のように見えてかわいい

 これなら、食べなれた食品のローリングストック(食べたら買い足す、を日常的に繰り返す備蓄方法)が簡単に。また常備薬やアレルギー対策食品をはじめ、個人の事情に合わせた備蓄品も収納できて安心です。

 「会社の倉庫で見た、大きいサイズの水のペットボトルが入る厚みで、最低3日分の備蓄をしたい。でも『グラッときたら机の下』を妨げない大きさを目指しました」(大島さん)。

 ちなみに大島さんによれば、地震が起きたら、まず「頭を守る行動をとる」のが大切だということです。ヘルメットをかぶったり、丈夫な机の下にもぐったりするのはそのためなんですね。