豆知識:備蓄の目安は、なぜ3日分?

 人命救助のリミットは72時間(3日間)と言われています。そのため、大災害が発生したとき、「最長3日間程度は、行政の活動は救命・救助を優先せざるを得ない」(東京都帰宅困難者対策条例 Q&A)と想定されているからです。その間に帰宅困難者が救助活動を妨げたり、火災など二次災害に巻き込まれたりする恐れがあります。そこで、道路の安全が確保されない場合、会社のビル等が安全な場合はそこに留まってほしいという趣旨の条例が定められているのです。

(参考 帰宅困難者対策ハンドブック

◎こぼれ話

 単に備蓄をするだけが、防災の備えとは言えません。ほかにも、働く女性が知っておきたい心得を聞きました。

・「3食、食べることが防災」
 導入していただいているお客様企業の総務部の女性が、震災の当日、朝ご飯を抜いてしまったというエピソード。やっとお昼ご飯を食べようとしたら地震が発生。ご飯を食べられないまま、避難を呼びかけるために走り回り、自分が最後にオフィスを出たときに低血糖で倒れてしまったそう。災害時の総務はそれくらい大変ということですね。自分の身を守るためには、食べられるときにきちんと食べておきたいですね。特に、一人暮らしの人は気を付けて!

・「たかが挨拶、されど挨拶」
仕事だけにのめり込まず、日頃から社内の人とコミュニケーションをとっていくことを意識してみて。挨拶するだけでもOK。お互いの存在を知っていれば、何かあったとき、いなくなっても気づいてもらえます。それも防災の一つ。

今一度、防災について考える機会を

 ここまで、大地震を例に防災対策をお勧めしてきました。しかしもちろん、会社に留まらなければならないケースは、地震だけではありません。

 「たとえば大雪で交通機関が麻痺したり、今の日本ならテロが起きたりする可能性だって考えられます」(角田さん)

 また3日間が過ぎた後も、すぐに日常に戻れるとは限りません。通勤・帰宅に支障が出る場合、会社に留まる可能性も。そんなときに業務を続けるためにも、備蓄は役立ちます。

 この記事を読んでいるあなたが経営者なら、社員の安全と、非常時における業務継続のために何を備えるか。そして個人でも、自分の身を守るために常備しておきたいものは何か、考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

この人に聞きました
大島利佳
大島利佳(おおしま・りか)さん
内田洋行営業本部にて調達購買課に所属。

角田昌子
角田昌子(つのだ・あつこ)さん
内田洋行営業本部にて企画課に所属。