災害時、備蓄の配布は後回しになってしまう

 デスク下に各人が防災用品を保管する“足元備蓄”。会社全体としても、主に以下のメリットが挙げられます。

会社の備蓄スペースを有効活用できる

 倉庫の確保が難しい場合でも備蓄を進められる。また、倉庫の空きスペースで非常用の工具や寝袋などを保管できる。

配布の手間を削減

 会社が一括管理している備蓄は、即時の配布が難しい。また常備薬など個人が必要なものは各人が用意するしかない。これらの問題を解決できる。

 「備蓄品を管理する総務担当者は、緊急時は安否の確認やけが人の救護などを最優先に走り回るため、配布まで手が回らないのが実情だと思います」(大島さん)

 つまり、個人での備蓄を行うことは、災害時に総務担当者に負担が集中することを防ぎ、社員一人ひとりの防災力も高まるという二つの面でメリットがあります。

女性におすすめの保管しておきたいもの

 それでは、女性にオススメの備蓄品は何でしょうか。

 飲む目的だけでなく、手を洗うなど衛生を保つ目的でも使えるので非常に重要。

スニーカー

 ヒールの靴で通勤している女性には必須。階段を降りて避難したり、歩いて帰宅したりする際に履き替えます。

生理用品、スキンケア用品

 会社に泊まったときに化粧崩れが気になる女性は多かったようです。

常備薬やメガネ

 コンタクトは取り換えが必要なので、非常時はメガネのほうが使い勝手が良いでしょう。

心が落ち着く食べ物など

 「私の場合、チョコレートを食べると落ち着きますね」(大島さん)。

“非日常”で“日常”を取り戻す

 「非常時にお菓子なんて」と、意外に思う人もいるかもしれません。しかし、震災を振り返ってみたときの実感は逆。

 「“非日常”だからこそ、“日常”を取り戻したいという欲求があるんですよね。男性もそれは同じで、コーヒーやタバコで自分を落ち着かせている人がいました」(角田さん)。

 災害がいったん落ち着いても、しばらくは会社で人員が出払ったり、通常と違う業務をこなしたり、通勤手段が不安定だったりと、非常時の態勢が続くはず。「業務の継続を考えたときも、日頃食べ慣れているものを備えることが大切。精神的に落ち着くものって大事です」(角田さん)。

 そのほか、「ストッキングを二日目も履くのはつらいので靴下が必要」「歯磨きがしたい」など、女性は衛生面で日常を保ちたいという欲求が強いようです。

 大切なものは人それぞれ。備えておきたい、自分にとって必要なものを吟味してみましょう。

 何を入れたら良いか分からないという人は、備蓄品がセットになっている商品を選ぶのも手です。ちなみに、内田洋行からは「そなえさん」にぴったりの備蓄セットも販売されています。

非常用食料の試食会をしてみよう

 災害の備えをするときは、できれば防災用品を実際に使ってみると新しい発見があります。「私たちは、会社で実際に防災用食品の試食会を開催しました。停電を想定して、準備するところから明かりを消して行いました。食品の味だけではなく、中に入っている乾燥剤を除いたり、お湯を注いだりと、暗がりでの作業や雰囲気などが確認できました。皆さんにもおすすめします」(角田さん)

内田洋行の防災試食会の様子。暗がりの中、非常食を水で戻す
内田洋行の防災試食会の様子。暗がりの中、非常食を水で戻す
いろいろ味見してみよう
いろいろ味見してみよう

 「試食会でおいしかったのは、水で戻して食べる、きなこもちです。正直、味にはそこまで期待していなかったのですが、思いのほか美味。非常時でもきっと癒されると気づいたので常備しています」(大島さん)

 実は筆者も先日、災害時を想定して気になったことを個人的に実験してみたばかり。テーマは「緊急時にペットのトイレシートで人間も用が足せるか?」でした。詳細は省きますが、「全然ダメ」なのか、「意外にいける」のか、一度でも試してみることは大事だと実感しました(ちなみに私の実感は「意外にいける」でした)。