総務のプロとは「何でも屋」ではない!

カワイ 昔の日本の会社には総務のプロがいたのよ。「会社の生き字引」みたいな人で、縁の下の力持ち。花形の部署ではなかったけど、誰もが総務の人に敬意を払っていて、「会社になくてはならない存在」という共通認識があった。

 でも、バブルが崩壊してから、何でもかんでも数字、数字、数字の経営になって、目に見えない力は評価されなくなってきた。それとともに総務のプロがいなくなってしまったのね。

ニケ ってことは経営者が悪いんじゃん!

カワイ そうなんだけど、相談者の35歳会社員さんが、「総務のプロ」になればいいのよ。総務部が周囲から評価されるように「変える」のではなく、プロになれば「35歳会社員さん」に対する評価が変わります。

ニケ なるほど。それは分かるような気がします。でも、どうすればいいですか?

カワイ そもそも、総務って何をやる仕事なのかしら?

ニケ 「自分としては、会社にとってなくてはならない仕事だと思います」と書いてありますけど。

カワイ なくてはならない仕事。その通りです。では、具体的には?

ニケ う~ん。何でも屋なんですよね~。

カワイ 何でも屋じゃないですよ。だって間接部門には、経理、人事、法務というのもありますよね? こういう仕事の多くは資格が必要だったり、専門的な知識が必要な、いわゆる専門職でしょ?

ニケ はい。だから総務は「何でも屋」なんですぅ。

カワイ だから何でも屋じゃないの(苦笑)。経理、人事、法務などの、いわゆる「専門職」に収まりきらない仕事を「すべて」引き受けるのが総務の仕事です。

ニケ やっぱり「何でも屋」じゃないですか。

カワイ いいえ違います。経理、人事、法務などではカバーできない、「残り物の仕事」をするのが、総務です。

ニケ 「残り物」って……余計に寂しくなりました。

カワイ 会社に必要な業務の残り物ですから、究極の縁の下の力持ちになって、社員をサポートする。直接部門の人たちが元気になるような仕事をして、直接部門の生産性を上げるのが、総務のプロです。

ニケ 究極の縁の下の力持ちですね! ……ってことは、例えばみんながおいしいと思える社員食堂にしたり、トイレが快適に使えるようにしたり?

カワイ ただの社員食堂にしない、ただのトイレにしない。それが総務のプロ!

ニケ うぅ~、ってことは、自分が作った料理を売れる社員食堂にする~、とか、「トイレタイム=メールタイム」になるトイレにする~、とか?