「やっていないこと」を実行して面白いことを探す

カワイ きっかけはそれぞれのステージでいくつかあって、その繰り返しで今があります。最初のステージが、CA時代です。

 当時、機内には喫煙席があったので、灰皿をきれいにするという仕事がありました。お客さんの席まで行って、そこにひざまずいて吸い殻を一本一本ピンセットでつまんで、紙袋に回収していくの。

ニケ そんなことやってたんですか?

カワイ ザ・昭和でしょ(苦笑)。臭いし、なんでこんなことやらなきゃいけないわけ?って思ってました。だから、いつも無言で、くだらない仕事だなぁって思いながらやっていました。

 あるときあまりにもつまらないから、お客さんに「よく飛行機乗るんですか?」って話しかけてみたの。そしたらお客さんもスッチーに話しかけられてうれしかったみたいでね。思いのほか会話がはずんで、なんか楽しかったのよね~。

 それからお茶を出すときにも「アチチですから、ヤケドしないでくださいね~」とか、雑誌を回収に行く時にも「面白い記事ありましたか?」なんて話しかけるようにしたの。そしたらやっぱり楽しくて。そういうサービスをするとお客さんも降りていくときに、「ありがとう! 楽しかった!」って言ってくれて、なんかやる気スイッチが入ってしまったの。

 それからですよ、私が目覚めたのは。ワインのこととか、チーズこととか、自分で勉強するようになって、サービスが評判のお店に行ったり、おかまバーに行って女っぽい仕草を学んだり(笑)。プライベートでも、仕事に役立つことに自己投資するようになったの。で、そうこうしているうちに、もっと自分の能力を発揮したい~なんて思うようになって、走り出しちゃったのよね~。