カワイ ある女性は、社内一の営業ウーマン。次々と大きな案件を決め、上司も会社も大喜び。営業だけでなく部下の教育なども任され、会社に欠かせないスーパーウーマンになっていました。ところがある日、実家の母親が倒れ、彼女は故郷の札幌に移り住むことになった。「○○さんがいなくなって大丈夫かな? うちの会社、彼女で持ってるようなものだから……」と、誰もが心配しました。
ニケ ほら! やっぱりいなくなると困るんじゃないですかっ!
カワイ ところが会社は、彼女が辞めた後、急成長。海外進出も果たし、従業員も3倍に増えました。
ニケ あらま。
カワイ これが組織というものです。会社という組織は「私が休んだ」くらいでぐらつくものではないの。
案外、「○○さん、いないほうがスムーズだったね~」なんてこっそり言われちゃうのよ(笑)。
周りは自分が思っているほど「自分」に興味ないのです。
ニケ ウッ。そ、それも悲しいような気がしますが……(イジイジ)。ニケはひょっとして「自意識が高過ぎ~」ってことなのでしょうか?
出社してもやる気が出ない「プレゼンティズム」が問題に
カワイ 誰もが「自分の居場所」を失いたくないから、ついつい「自分がいなきゃ」とか「休んだら迷惑が掛かる」って思い込んでしまいがちです。でもね、「自分の中で限界を感じている」時に、いい仕事ができるわけがないと思わない?
ニケ できません、です。
カワイ プレゼンティズムって、ホント迷惑なのよね。
ニケ プレ、プレゼン?
カワイ プレゼンティズムです。これはいつも通りに出社しても、なんとなくやる気が起きず、稼働率が半分以下の状態をいいます。欠席や休職の「アブセンティズム」より生産性を低下させ、周りにも伝染するの。
ニケ 確かにダラダラやってる人がいると、周りもダラけるかも〜。無理して頑張る「頑張りスギ子ちゃん」はダメなんですね。
カワイ 彼女は「限界を感じている」と言っているけど、自分で限界さえ設けなければ可能性は無限に広がっていきます。その一方で、心や体には限界がある。休息を取ってあげないとダメ。30歳会社員さんが今すべきことは、「ずる休み」です。
ニケ ずる休み! うわぁ! そんなことしたら周りに迷惑掛かるじゃないですかっ!
カワイ だ・か・ら……そのために有給休暇ってものがあるんでしょ?
ニケ でも……。
「ニケくん、有給申請の理由は?」(上司)
「ずる休みです!」(ニケ)……
イヤイヤイヤ~! 上司に殺される! カオルさん、無理っす!
カワイ 本来、上司は有給休暇を取る理由を聞いてはいけないことになっています。だけど、聞いてくるのが日本の会社の七不思議です。なので、
「ニケくん、有給申請の理由は?」(上司)
「ちょっと母の具合が悪いので病院に連れていこうと思いまして。ご迷惑をお掛けしてすみません」(ニケ)
「お、そうかそうか。うちの両親も年取ってきて、アレコレ大変だよ。こちらは大丈夫だから親孝行してきなさい」(上司)
「はい! ありがとうございます!(ニッコリ)」(ニケ )
これでどう?
ニケ さすがです! 嘘も方便っていいますもんね!
カワイ 「ずる休み」はストレスの雨をしのぐ傘です。
真面目に休むことなく働いている人には、許容しづらいかもしれません。でもね、ストレス学の見地からいえば、「逃げるが勝ち」も、大切な対処法なの。
ニケ 心と体を癒やすための「傘」って考え、いいかも~。