上司の役割は、部下のサポート

ニケ だから、余計、自分が上司になって、彼らが部下になったときのこと考えるとゾッとしちゃうんです。ああ、ムリムリムリだぁ~って。薫さんが言うように、もっと自分も人生経験を積んで、さまざまな角度からモノごとを見れるようになれば、部下にアレコレ言えるかもしれないけど、アラサーのひよっこじゃムリ! ……ん? あれれ? ってことになると、アラサー上司は何をすればいいですか? アラフォー上司は? 部下に対する責任は? 何をどうすれば責任を全うできるんですか?

カワイ いい質問ですね! 若い上司はインフォメーショナル・サポートに徹してください。

ニケ インフォメーショナル?

カワイ そうです。上司の役割は大きく分けると二つ。一つはインフォメーショナル・サポート、もう一つはフレンドシップ・サポートです。

 「仕事に役立つ情報」を徹底的に部下に伝える、これがインフォメーショナル・サポートです。「これくらい言えば分かるだろう」とか、「これは新人の仕事だから」と、部下がやるべき仕事についての説明をあいまいにしないで、彼らが納得するように明確に情報を伝え続ける。その役割を徹底すればいい。

 私が以前行った新卒社会人の半年間にわたる追跡調査でも、「仕事の役に立つ情報をもらえる」と答えた20代社員は、そうでない社員に比べてスムーズに職場に適応していたし、モチベーションも高い傾向が認められました。

 いちいち説明するなんて面倒くさいし、手間もかかるけど、これも上司の大切な役割なの。

ニケ じゃあ、フレンドシップは、仲良くするってことですか?

カワイ 仲良くとは違います。仕事でヘマをやらかした時、自信をなくした時、トラブルを起こした時、人間関係に悩んだ時……、そんなちょっとだけ心が弱った状態になったときに、力になるのがフレンドシップ・サポートです。

どんなサポートができるのかを考えましょう (C)PIXTA
どんなサポートができるのかを考えましょう (C)PIXTA

ニケ それって難しそう……。

カワイ そうね。人生経験があったほうがフレンドシップ・サポートは提供しやすいですよね。上司というより、人生の先輩として部下と接するわけだから、それなりに語る言葉が必要だしね。

 なので、ムリにフレンドシップ・サポートはする必要なくて、部下の仕事ぶりに目配りして、「仕事に役立つ情報」を伝えればいい。今の若い社員は「こんなこと聞いたんじゃ、ダメなヤツって思われちゃうかも」って聞きたいのに聞けない傾向があるから、上司から「これはこういうことで」「このときはこういうやり方もあって」「これはアレを読むと分かりやすい」とか、自分がやってきたことを伝えてみてください。それを繰り返していけば、部下から相談されることも増えて、結果的に「分からなくて当たり前」と思っていた部分が、ちょっとだけ「見えてくる」かもしれないしね。

ニケ なるほど! 自分が部下だったときに欲しかった情報を伝えるんだったら、できそうな気がします。あっ、でもそのためには……、適当なこと言えないなぁ~。真面目に仕事しよ~!

カワイ  え? 今まで真面目にやってなかったの!?(怒)

ニケ いやあぁ~、そ、そういうわけでは……。薫さん、深い諦めですよ! 深い諦め! それでよろしくお願いしま~す。では、また来週~!

文/河合薫 写真/PIXTA

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