悠長に待てない、職場環境が早急に変わってほしい

(えんどう) うちの場合、出産経験があるワーママの先輩女性が、「私のときはこんなに良くなかった」とか嫌みを言うんです。そうなると女性同士がぎすぎすして、結局その部署の女性の離職率が高くなるんですね。私、女の敵は女だなと思ってしまいます。

(みずたに) 私の会社では、あまりいい言葉ではないですが、「優先枠」と呼んでいます。

(河合) ワーママのことをですか?

(みずたに) はい。「優先枠」的な扱いです。ワーママたちはもっとやりたくても閑職に追いやられる。一方で、仕事の絶対量は変わらないから、独身者の負担が増える。そうするとものすごい不公平感が渦巻くようになってしまって。「あの人は優先枠だからね」って陰口をたたくようになってしまうんです。

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 さて、「女の賞味期限―結婚・出産編」はいかがでしたでしょうか?

 本来であれば、好きな人ができて「この人と一緒にいたい」という気持ちの先に「結婚」という一つの形があり、「この人の子どもが欲しい」という気持ちの先に「出産」があるはずです。ですが、なかなかそううまくいかない「リアル」があることを痛感しました。そしてその「リアル」は、以前よりも厳しくなっているように感じました。

 それはなぜか? 「女性用の働き方」を会社がつくってしまったことで、副作用が生まれたからです。

「女の賞味期限―結婚・出産編」はいかがでしたか?
「女の賞味期限―結婚・出産編」はいかがでしたか?

 会社は、女性が働き続ける環境を整えるのであれば、男性の働き方も変える必要がありました。男性も育児休暇を取る、介護休暇を取る、男性であれ、50代以上であれ、誰であれ、「家族の都合」で時短勤務などができるといった働き方です。しかしながら、会社はそれをしません。家の中に納戸だけ作り、家の形も出口も変えませんでした。

 会社がマッチョな働き方を続ける以上、女性は「出産の賞味期限」と仕事の板挟みになり、どうしていいのか分からなくなりますね。

 いつの時代も働く女性は、悩みます。「一人の女性」である自分と、「一人の働き手」としての自分です。私は「結婚」「出産」だけが正解ではないと思いますし、結婚や出産ほど、自分の意思とは関係なく遭遇するライフイベントはないと思っています。

 そして、一つだけ「人生の先輩」として言えることがあるとすれば……、結果的に出産のリミットが過ぎてしまっても、案外朗らかな気持ちでいられるモノですよ。同級生の子どもが大学生になった、とか聞くとちょっとだけ羨ましくなりますが、5分もすれば忘れちゃいます(笑)。そして、「今度生まれてきたら、子どもは絶対に産もう!」って明るく思えるので、大丈夫です。結婚は……、賞味期限はないので、いつか私も皆さんに結婚報告するかもしれませんよ。

 次回は、思うようにキャリアアップができていない、中堅なのに評価されていない、という悩みを中心に、仕事における賞味期限の議論をお届けします。お楽しみに!

文/河合薫 写真/竹井俊晴

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