モヤモヤ悩む時期は誰にでもやって来る

カワイ まさか~。ニケさんの言う通りなんです! 私は「自己紹介」をしなくちゃならないときは、常に「フリーターです!」って言ってます。

 だって、日本人って、自己を紹介するのに肩書を言うでしょ? 「○○会社で、△▲をやっています」とか、「○○大学の日本太郎です」とか。

 私はどこの組織にも属していないし、コラムや本を書いたり、講演会をしたり、大学で講義をしたり、テレビに出たり、ラジオで話したりしてるから、何でも屋さん。だから「河合薫です」って名前だけ言って、後は、「フリーの研究者で~す」とか、「フリーターです」とか言ってるの。

ニケ あの~、私、一度薫さんに聞きたかったんですけど、薫さんって、いつからフリーランスを目指すようになたんですか? CAを辞めるときですか?

カワイ 難しい質問ね。

 そうね~。結果的にフリーでやってるけど、いまだかつて「フリーランスを目指そう!」って思ったことは一度もない。

ニケ エエエエ~ッ! ど、どういうこと?

カワイ 私が目指したのは「自分の言葉で伝える仕事」です。なので、講演会も、テレビやラジオも、コラムも、大学の講義も、私にとってはステージが異なるだけで、「自分の言葉を伝える」という点では、全く同じ仕事です。組織に入ってしまうと、“ステージ”は限られる。だからフリーになった。ただそれだけなの。

ニケ 確かに、今、薫さんがやっているように働くには、フリーじゃないとできませんね。……ってことは、……えっと、そもそも、薫さんはなぜ、自分の言葉で勝負したいなんて思うようになったんですか?

カワイ 話したことありませんでしたっけ? 「このままでいいのかなぁ」って思ったの。

ニケ 聞いたことがあるような、ないような……。

カワイ スッチーになって3年くらい経った頃、このままでいいのかなぁ、って思ったの。

 ただ、この“壁”は、30歳前後になると誰もがぶつかる「キャリアの壁」。

 社会人になって3~5年くらい経つと、だいたい仕事のことも分かってくる。すると、「もっと他のこと をやったほうが、いいんじゃないか。もっと他の会社に転職したほうがいいんじゃないか」って、多くの人が思うようになる。

 今回の相談者の方も、キャリアストレスの壁にぶつかっているのね。

ニケ ギクッ……。じ、実はニケも……気がつくと転職サイトをのぞいてたりして……(テヘッ)。でも、コレになりたい!っていうのもないし、今の会社、お給料もまあまあだし、なぁ~んとなく過ぎております。

カワイ ええ、そういう人も多いですよ。それは決して悪いことではありません。今の仕事でキャリアを重ねればいい。

 私もめちゃくちゃ悩みましたよ。「このままでいいのかなぁ」ってモヤモヤしながらも、1年くらい飛んでましたから。

 でも、そんな気持ちで飛ぶのが嫌になった。スッチー続けるなら、悩むことなく、楽しく飛びたい。それである日私は、自分に問いかけたの。「2年後、今のままスッチーをやっている自分と、何か分からないけど他のことをやってる自分と、どっちがステキか?」って。

 なぜ、そんな質問をしたのか? なぜ、2年後だったのか、自分でもよく分からない。

 で、私は「何か分からないけど他のことをやってる自分のほうステキ!」と思った。だから、辞めた。ああ、辞めよう、って。

 そしたら、自分の中のマグマの正体が「自分の言葉を持ちたい」という気持ちだったことに気付いた。それで、1、2、3~っで、崖から飛び込んだ。何も決まってないのに、辞めた。まぁ若気の至りってやつね(笑)。

ニケ へ~、そうだったんですか~。すごい勇気ですよね! でも、正直な話、ANAのCAを辞めて、後悔したことないんですか? 当時って、お給料とか良かったし、あこがれの職業でしたよね?