仕事と育児の壮絶な忙しさと、心の葛藤

カワイ Time Bindという言葉は、「仕事と育児の壮絶な忙しさと、心の葛藤」を意味します。本の中には、時短勤務や在宅勤務などの制度を使わず、自ら進んで、子どもと過ごす時間を、時間外労働に充てているワーキングマザーが何人も登場して、世間は一斉に批判した。

 ところが、ワーキングマザーたちは「私もその一人です」と共感した。多くのワーキングマザーたちが、「私だけじゃなかった」と救われたの。

 当時、アメリカでは「育児と仕事を両立できる、やさしい会社」が徐々に増えていました。皮肉なことにそれが、母親たちの葛藤を生んでしまったのね。

ニケ へ~っ、そうなんだ。難しいですね。働きやすくすることは絶対に必要だけど、たとえ働きやすくなっても、ワーキングマザーの忙しさは変わらないってことですね。

カワイ 夫が協力的だったり、両親に頼れる人は、まだなんとかなるかもしれないけど、ね。本の中には、「私は一日中、謝っています。会社では、育児で迷惑をかける同僚に謝り、家では食事の準備が遅くなったことを夫に謝り、子どもには寂しい思いをさせてごめんね、と謝ってる」という、ワーキングマザーが登場していました。

「寂しい思いをさせてごめんね」と子どもに謝ります (C)PIXTA
「寂しい思いをさせてごめんね」と子どもに謝ります (C)PIXTA

ニケ うわあ。めちゃ、しんどい。

カワイ でもね、ニケさんが言うように、一番の被害者は子どもです。母親に早く帰ってきてほしいのに帰ってこない。もっとかまってほしいのに、母親はいつも疲れている。すると、子どもわざと親の関心を引くような問題行動を起こす。それがまた、母親を苦悩させる。

ニケ ドつぼだぁ~! で、ど、どうすりゃいいんですか?

カワイ この状態を解消するには、家庭を変えるしかありません。夫の協力、育児を手伝ってくれる周囲の人の協力、そして何よりも、家事・育児という仕事への社会的評価の向上。とにかく、家庭のあり方を考えて、改善していかないと根本的な問題は解決しません。

ニケ キエ~、そ、それは遠い道のりの気が……。

カワイ そうなの。でも、少しずつ変えなきゃ、誰一人幸せになりません。なので、相談者の方は、まず旦那さんと話すことから始めてほしい。自分の気持ちを素直に旦那さんに話してみてください。そして、1週間に1日でいいから、時間から解放される日を作ってみてほしいの。もちろんそのためには、旦那さんの協力が必要ですよね。

 あと、旦那さんが育児や家事をやったときには、「ありがとう」とか「すごい!」とか労ってしてください。そういったちょっとしたしなやかな心遣いが、自分にも返ってくることになりますから。

ニケ 夫婦円満! が一番ってことですね! 私も頑張ろ!

カワイ ん? 何を?

ニケ うふ、○○円満!(笑) 正解は、 また来週~!

文/河合薫 写真/PIXTA

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