子どもの笑顔は最高、でも労いにならない

カワイ 育児は不測の事態だらけです。主導権を持っているのは子どもで、母親のコントロール下にありそうで、ない。

 一方で仕事では、ある程度自分でコントロールできる。うまくいったときには、上司や会社が評価してくれることもある。育児ではどう? 誰か評価してくれるのかな? 仕事では「よくやった!」と褒めてもらえても、育児では「よくやった!」と労ってくれる人はいない。

ニケ 子どもの笑顔が最高の評価です!

カワイ 子どもの笑顔に救われることはたくさんあるでしょう。でも、その笑顔だけではどうにもならないくらい、しんどいこともあるんじゃないかしらね。とにかく忙しすぎるのよ。

 育児と家事をやるために、会社にいるときは時間と責任に追いかけられる。家に帰っても、時間と責任とに追いかけられる。

 そんな日々が続いたら、どう? 仕事には終わりがあっても、育児には終わりがない。

ニケ ウッ……。そ、そうかも……。そっか! 忙しすぎることが、問題なんですね! どんなに育児をテキパキこなしても、ソレが当たり前、だから、誰も褒めてくれないし……。あ~、そうかそうか。褒めてもらえない、労ってもらえない、こんなに忙しい! こんなに頑張ってるのに! って、なっちゃうってことですね。

カワイ よくできました! 本来であれば、家庭がホッとでいきる場所のばずなのに、職場がホッとできる場所になってしまったのでしょう。家庭と仕事の逆転現象です。

 数年前、アメリカで、ある1冊の本が一大センセーショナルを巻き起こしました。

ニケ 仕事が楽っていう、ワーキングマザーの本ですか?

カワイ 仕事と育児に葛藤するワーキングマザーたちの日常を描いた、「The Time Bind」という本です。