苦手な女性同僚とのかかわり方

カワイ レギュラーのテレビとかラジオ番組に週1回とか行くでしょ? するとね、メチャクチャ楽しいの。うん、本当に楽しい。家に帰っても思い出し笑いしてしまったり……。その日は1日幸せな気分でいられるの。

 たぶん、誰もがそんな「人間関係」の幸せを、これまでの経験で知っている。だから、アレコレ悩みながらも、なんとか上手くやっていけないものかと悩むのよ。

ニケ でも、それって要するに薫さんの場合には、週1だから、ですよね。フツーは毎日会うから無理。特に女性だけの職場だと難しいですよ。

 私は女の敵は女だとは別に思わないけど、女の人のほうが苦手な人が多いです。だって、男の人だったら接点もたなきゃいいけど、女同士だとそうもいかない。苦手な人は苦手。それはどうやっても変わらないですよ~。

カワイ 私もスッチーのときは、“女だけ”の環境にはかなり面食らったし、入社後にあった3カ月間の地上訓練なんて、20人の同期全員が「一人前のCAを目指して頑張る」といった異様に張りつめた空気の中で、トラブルの連続でした。

 同期には短大を卒業した人もいて、大卒と対立することもあった。例えば、短大卒の同期が大きなイヤリングをしてくると、「それってどうなの?」と上から目線で指摘する22歳のお姉さまがいる。当然、注意されたほうは「なんでそんなこと言われなきゃいけないの?」とイラっとする。それで「そっちだって、化粧濃すぎない?」なんてことを言い返したりして。もう大変!

 当時は私も若かったので、正義感を強めて二人の仲を取り繕おうとしました。そんな私のおせっかいは、同期たちから感謝された……わけありません。それどころか、「薫はいつも、いいとこ取りばかりする」と陰口をたたかれた。

 ショックでしたよ。だから「もう、かかわるのやめよう」って決めた。そしたら今度は、「いつも傍観者でずるい」と陰で言う同期がいたの。

 もともと彼女は苦手なタイプだったからすごいイヤな気分になったし、つくづく訓練が3カ月で終わってよかったと思った。あのままずっと付き合うことになっていたらと……、想像するだけでゾッとしましたよ。

 でも、超苦手だった「彼女」と1年後に、なんと同じフライトで飛ぶことになったの。

ニケ うわあ~!恐怖のご対面!

カワイ そうね。「何かのトラブルで勤務が変わればいい」と願いましたよ。

 ところがね、不思議なことにフライトで彼女と再会したら、ちっとも嫌な感じがしない。会った瞬間に、それまでの気苦労がウソのように吹き飛んだ。

 なぜか顔をあわせた途端にホッとしたし、一緒にいるのも楽しかった。何よりも仕事がしやすかったことにはめちゃくちゃ驚きました。

 1年前は超苦手な人だったのに、ちっとも苦手じゃない。むしろ、「同期っていいものだなあ」なんてことを思ってしまったの。

ニケ それは「彼女」が変わったってことですか?

カワイ いいえ。全く(苦笑)。相変わらず強烈な性格で、あれこれ厳しく文句を言っていました。でも、それが訓練所にいたときほど気にならない。ときには「それ言い過ぎ」などとツッコミながら、笑い合うこともできた。1年前のギスギスした雰囲気とは180度違って、「また一緒に飛びたいね!」なんて前向きな気持ちにさえなったの。

 ただ一つだけ、1年前と変わったことがあった。それは、私に余裕ができたこと。