業務の「見える化」で、自分の負担を検証しよう
ニケ でも、でもですよ。独身者だけのキツい仕事がなくならない、と思います!
カワイ 今日は負けないわね~(笑)。だったらそれはきちんと上司に相談すべきでしょ?
「上司に言うとやる気がないと思われる」って相談者の方も心配してるけど、独身の部下の負担が大きくなっていることは、上司も分かっています。ただし、相談するときは感情的に言ってはダメです。論理的にいわなきゃ。
ニケ えええ、そんなことできませんよ。だって、目に見えない仕事もあるもん。
カワイ それを“見える化”するの。じゃ、ちょっとやってみましょう。
まず、紙にニケさんが「今日やるべき仕事」を、箇条書きで書き出してごらんなさい。
ニケ ○○会社に資料送付、明日の会議資料作り、稟議書の作成……。
カワイ それは全部、今日中にやるべきことね?
ニケ はい、そうですよ。でも、たいてい終わらなくて残業したり、それでも無理そうなときは期日伸ばしてもらったりしてます。
カワイ あとは紙に、朝会社に行ってから、退社するまで。「○時~ ××。▲時~ ※※」といった具合に、すべてやったこと書き出す。退社時間も忘れずにね。最後に「時間的余裕、精神的余裕」を、あり、なし、で記録する。
この作業を1週間、頑張ってやってごらんなさい。
ニケ ただ、書き続ければいいんですね?
カワイ そうです。それをやってごらんなさい。
それを持って、上司に相談に行くの。そうすると「ムリです」vs.「やる気ないのか?」なんて感情のぶつかり合いは避けられます。感情は論理で、論理は感情で! これが交渉のコツです。それだけじゃありません。記録すると自分で効率化できそうな仕事、どうやってもしんどい仕事、といった具合に、仕事の仕分けができるから、自分の働き方を見直す機会にもなる。
ニケ なるほど~。これひょっとしたら、上司に相談する前に自分で効率化できちゃうかも。
カワイ そうね。それで自分が納得できるならいいですよ。でも、上司にときには弱音を吐くものいいわよ。一生懸命やってる部下が漏らす弱音って、愛おしいっていうかなんというか。心ある上司なら、何かを感じ取ってくれますから。
ニケ 薫さん、……私、実は……結構……。
カワイ はいっ! 時間切れ!
ニケ :ええええ~ 愛おしい、厭おしい、糸惜しい? ああ~。
文/河合薫 写真/PIXTA