不公平感をどう払拭するか?

ニケ うん。じゃ薫さん、絶対に怒らないでくださいね。私、“極めつけの一節”って、その通りの……だよな~って……思ってしまうです。

 「結局、産休で抜けた人の仕事を職場のみんなでやりくりしてカバーする」ってその通りだもん! 妊娠してるって分かった途端、会社に普通に来ていても休日のイベントとか免除されるし、出張もなし。子どもが産まれてからも、ず~っとですよ。子育て大変なの分かるけど……。すごい不公平じゃないですか。こっちだって休みたいですよ!

カワイ そうね。そう言いたい気持ちは分かりますよ。

 本来、会社側が抜けた人の穴をちゃんとカバーできるような職場環境や制度を作らないとダメ。産休や育児休暇だけどんどん取らせて、「あとは現場でよろしくね!」じゃ、不満は溜まりますよね。しかも、「子育て」という大変だけど幸せな営みだけに、誰も何も言えないし、本当はみんなも祝福したい。

 ニケさんだって、本当は気持ちよく「あとは任せてください!子どものために早く帰って」とか言いたいのよね?

ニケ :薫さ~ん、分かってくれますか! ああ~。そうなんです。本当、そうなんですよ~。本当はね、ワーママたちもものすごく頑張っているの分かるし、応援したい。でも、「当たり前」のように振る舞われちゃったりすると、「ちょっと待て!」と心の中の、意地悪ニケが騒ぐんです。

 「3歳までに、どれだけお母さんと一緒に過ごしたかが大事。母親の代わりはいないから」とか「子どもの迎えがあるから~」って、仕事残してさっさと帰ってしまったりされると……。

 ムカついちゃうんです。そんな自分って、やさしくないなぁ~って自己嫌悪しちゃうし……。

カワイ 相談者の女性も、きっとそういう気持ちもあるんじゃないのかしら。

 頭では分かっていても、心が付いて行かない。でも、それは人間だから仕方がないことなの。

 もちろん彼女たちは彼女たちで、子育てと仕事を両立することに必死だろうし、それこそ独身者には分からない苦労もたくさんある。でも、ほんの一言「いつもありがとう」と言ってほしいときって、ありますよね。彼女たちもそれは分かっているんだと思いますよ。ただ、忙しくて必死だと周囲への気遣いをつい忘れちゃうことも、誰にでもあるでしょ?

ニケ でも……、子育てのために、会社があるわけじゃないですよね~。私たちはしょせん、サラリーマンなんだもん。ちゃんとサラリーマンとしての、義務も果たしてほしいです!

カワイ あらら、今日はずいぶんと厳しいわね。それだけニケさんも現場も、疲弊しているってことね。

 不公平感というのは、いちばんやる気を失せさせるクセ者です。そう。本当にクセ者。私はね、いっそのこと「育休とか産休はなくせばいい」と思っているの。

ニケ マジっすか。薫さん、めちゃ厳しいじゃないですか~。

カワイ そう? 厳しくないわよ。せっかくの産休・育児のための“温かい制度”が回るには、それが回るための制度や政策が必要です。でも、それがない。

 だから、育児休暇はなくす。その代わり、「働く人たちの全員の権利」として2~3年間休める制度を作る。育児でも、留学でも、ボランティアでも、海外旅行でも、介護でもいい。そしたら、育児で休むワーキングマザーを妬む同僚も減ります。