見た目のマイナスを取り返す「即メール」

カワイ まずは、「即メール」じゃないかしら。例えば、客先訪問して自社に戻ったら、すぐにお礼メールを送る、現場で約束した案件をスピーディーに確実に仕上げ、マメに連絡を取る。以上で大丈夫です。これで本人が気にしている「見た目のマイナス」は取り返せます。見た目とのギャップで、相手は余計感動しますよ。「やるじゃん」ってね。

ニケ なるほど~! やっぱり見た目じゃないんですよね!

カワイ あれ? さっき、見た目は大事って言ってなかったっけ?

ニケ ギクッ。は、はい。う~、確かに薫さんの言うように見た目とのギャップ攻撃もアリだとは思うし、「見た目じゃない」って聞くとホッとします。でも、ニケの心はと~っても複雑なんです。だって、もし、もしですよ、38歳グループリーダーさんに「見た目のマイナス」がなければ、もっと自信を持っていろんな所に営業に行けると思うんです。

カワイ 確かにね、その人の第一印象の約6割は見た目で決まっちゃいますからね~。

ニケ ゲッ! そんなに~!

カワイ これは「メラビアンの法則」と呼ばれています。

 アメリカの心理学者アルバート・メラビアン博士は、コミュニケーションの取り方について示唆を得るために、話の内容、口調や話の速さなどの耳から入る情報、表情や服装など見た目から入る情報が他人にどのように影響を及ぼすかを調べました。

 その結果、

 表情や服装などの見た目……55%
 口調や話の速さ……38%
 話の内容……7%

と、見た目が与える印象の大きさが証明されたの。

 コミュニケーションは、視覚、聴覚、話の内容、伝えるタイミングの四つの次元で成立していて、視覚から入る情報が最も強い影響を与えてしまうのね。

ニケ 話の内容って、1割にも満たないんですね。ニケ、軽くショック受けていますぅ。

カワイ 例えば、アフリカ系アメリカ人として初の大統領となったオバマさんは、ハンサムでスタイルがよくて賢そうに見えるから、人種を問わず多くの票を集めることに成功したと指摘する専門家もいます。もちろん中身がなければ、「見かけだけだ」と非難される。でも、それは「見た目はどうでもいい」ということではないのです。

ニケ やっぱり美人さんは得なんですね(イジイジ)。

カワイ それは違います。印象を上げるのは美人よりも、かわいさ、親しみやすさです。「一緒に仕事をして、楽しそうだな」って思われるのがベストです。

 入社試験の面接官をやった友人の話をしますね。最近はグループディスカッションを取り入れる会社が多いけど、彼いわく、「美人は受かりづらい」と言うの。

ニケ 敬遠しちゃうってことですか?

カワイ 美人の学生は、最初は「オッ」と目に留まりやすい。でも、ディスカッションを進めていくうちに、「う~ん。毎日、この美人が職場にいるのは非日常だなぁ」などと思うようになり、最終的に「×」を付けてしまうというの。

 一方、「◎」を付けるのは、一緒に働く仲間として安心できそうな人。なんとなく愛嬌(あいきょう)があったり、身近に感じられたりする学生。「美人ではなく、愛嬌がある人を選ぶ心理」は彼だけでなく、他の面接官にも共通していたって言っていました。