転職は、「正当な評価への道」とは限らない

カワイ 正当に評価されなきゃ、この相談者のように「こんな会社に居続けては……」って気持ちになることもあるでしょう。

 でも、転職したからといって「正当に評価される」とは限らない。少なくとも私は、「私は生まれてからずっと、正当に評価され続けています!」と笑顔で語る人に、いまだかつて、会ったことがありません。

 ある調査では、「働いている人の48%が職場で評価されていないと感じている」という結果が出ているの。 

ニケ 相談者の人が考えるように、女性活躍が進んでいる会社に転職したとしてもですか?

カワイ そう、必ずしも正当に評価されるとは限らないでしょうね。女性が増える分、逆にライバルが増えるしね。会社を辞めることはいつでもできるので、私だったらもうひと踏ん張りするわ。

ニケ そういえば、「平均以上効果」っていうの、聞いたことがある~。

カワイ あら、よく知ってますね! 人がやっているのを見て、「あれくらいできそう」って思うことあるでしょ?

 これが「平均以上効果」です。相談者の人も、「“係長君”のやっていることくらい、私だってできそう」って思っているのでしょう。自分への評価は他社だけじゃなく自分も行っていて、大抵は自己評価を高く見積もる。「あれくらいできそう」って思ってしまうのね。 

 でも、「できそう」と「できる」との間には雲泥の差がある。うどんと蕎麦くらい全く別モノです。まずは、そのことを自分に言い聞かせなきゃダメ。

 そして、いろいろなことに具体的にトライしていくと、うどんと蕎麦の違いを身を持って知ることができる。それは自分の力を客観的に計る作業であると同時に、周りに自分を分かってもらう作業で、結果的に「正当に評価される」という感覚につながっていきます。

チャンスの神様は前髪しかない

カワイ 私がお天気キャスターになって半年くらいたった頃に、台風が来ました。そのとき「台風は河合じゃなく、男性に変えたほうがいいんじゃないか」って意見がスタッフから出たの。

 当時は、台風報道になると、気象庁の男性が出てきてホワイトボードの前で解説するのが通例だったから、「女じゃムリ」って思われた。「ゴールドバーグ・パラダイム」です。

 ただ、番組のプロデューサーがチャンスをくれた。「河合、台風をやれ!」って。

 メチャクチャ緊張しました。でも、自分を正当に評価してもらう絶好のチャンスだったので、「いつも通り、そう、いつも通りやればいいんだ」って自分に言い聞かせて、「200%力を出そう!」ってフルターボで挑みました。

 そしたら、番組終了後、「分かりやすくて、すごく良かった」とスタッフが認めてくれたの。“偏見のメガネ”を自分の力で、乗り越えた。「やっと、一人前の気象のプロとして認めてもらった」とホッとしたのを覚えているわ。

 世の中捨てたもんじゃなくて、日頃から頑張っていれば、誰にでもチャンスは来ます。でも、その「正当に評価してもらうチャンス」を生かすも殺すも自分次第。チャンスの神様は前髪しかないって、言いますよね。前髪をつかむには、日々ナニをしてるか?で決まるんです。

ニケ さすが! 薫さん! うどんが蕎麦になったんですね!

カワイ そ、そうね……。アナタは永遠にラーメンね。きっと。

文/河合薫、写真/PIXTA

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