元気になる力探し

カワイ 頑張らなくちゃいけないこともあるでしょう。でも、一人きりで頑張り続けたり、「こうしなきゃダメなんだ!」って考えると、大切な子どもを見るガラスが曇ってくる。

ニケ 曇る?

カワイ そう。涙で曇る。そうすると元気になる力だった、とても大切な宝物(=子ども)が見えなくなってしまって、ストレスの雨にびしょぬれになってしまうの。

ニケ そうならないためにはどうすれないいんですか?

カワイ 自分が元気で、笑顔じゃないと、大切な宝物である子どもも元気にならないし、笑顔にならないでしょ。

ニケ うん、うん。

カワイ なので、そのときには自分が元気なることをすればいい。カラオケ行くもよし、ヒールはいて買い物行くもよし、ちょっとだけ「自分」を大切にする時間を持ってください。

涙で曇らないように、自分が笑顔になれることをやりましょう  (C) PIXTA
涙で曇らないように、自分が笑顔になれることをやりましょう  (C) PIXTA

ニケ 「お母さん」なのにそんなことしていいんでしょうか?

カワイ 鉄人はいません。誰だって、折れそうになります。ちょっとだけ他人の傘を借りたり、雨宿りしたりすることは大切ですよ。それにね、めちゃくちゃバリキャリだった友人がね、男の子の子育てしているときにこんなことを言っていました。

ニケ 何て?

カワイ 産休中は何度も育児から逃げ出したくなったこともあったけど、自分にこんなにギュッとしがみついてくる男は世界中どこを探してもいないって思ったって。彼女は仕事に復帰した後も早起きしてお弁当を作ったり、家に帰ると真っ先に子どものケアがあって、それはそれで大変だったけど、「家の玄関に入った途端、仕事のスイッチがオフになる。スイッチが切れて気分が変わるから、仕事の悩みを引きずらない。何度も救われた」って。

 ぼくちゃんが低学年になったときはね、「ホントに自分をこんなに愛してくれる男がいるのって、最高にうれしい!」って言ってましたよ。そう語る彼女を、私はとても羨ましく思いました。

ニケ なんか、ニケ……元気になる力探しが下手になってたのかもしれません。いつも薫さんが元気になる力のことを話してくれてるのに。

カワイ (笑) はい、みんなが元気になる力探しの達人になれば、社会全体ももうちょっと優しくなるかもしれませんね。

文/河合薫 写真/PIXTA

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