育てる力

 赤ちゃんの世話の真似をするごっこ遊びや、女の子が下の子の面倒をみたりするシーンが描かれた絵本の読み聞かせなどを通じて、私たち女性、なかでも長女は、「自分は小さく幼いものを“育てる”存在である」と刷り込まれていきます。

 責任感の強さや面倒見のよさといった特性は、長女力の最たるもの。劇中でも、『とと姉ちゃん』の常子はときにおせっかいすぎるほど、妹をはじめ、友人や住み込み先の人など、周囲の世話を焼きます。早とちりで暴走してしまうこともありますが、それすらも、チャーミングに映ります。

 長女力による育てる力が、職場の後輩育成などで活かされることは言うまでもありません。

 また、あなたが兄弟姉妹や親との間に、なんとなく嫌な思い出を抱えていたとしたら。それは誰かを“育てる”経験を通して解消していくことができるのです。プロフィギュアスケーターの鈴木明子さんの例でもご紹介しました。

 つまり長女は、“人生のリプロセス(やり直し)”を行うことで、傷をも勲章に変え、より輝いて自らの力で生きていくことができるのです。

 いかがでしょうか?

 あなたがもし「長女」の自分を受け入れ難いと感じている方でしたら、このコラムを読んで「長女の人生もまぁ悪くないかな」と受け取ってもらえたら、筆者も一長女として嬉しく感じます。

文/麻生マリ子(母娘・家族問題研究家)、写真/PIXTA

Profile
麻生マリ子(あそう・まりこ)
母娘・家族問題研究家
女性たちの抱える生きづらさの背景として、母娘関係に着目。池内ひろ美(夫婦・家族問題評論家)の提唱する“母の呪い”をともに支持し、著す。10年間に渡る取材・著述活動を経て、現在は母娘問題・家族をテーマに研究、著作。また新聞や雑誌、WEB媒体などへ寄稿、コメント提供を行う。1977年、福岡県生まれ。自身も娘を持つ母である。
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