切り拓く力

 母親として育児を経験した方に、一人めのお子さんを育てたときのことを振り返ってもらうと「初めての子という気負いで厳しくしすぎてしまった」「下の子のときは慣れもあり柔軟な対応ができたが、一人めのときには融通の利かない頑なな考え方だった」という声があがります。

 「妹・弟に比べて厳しく躾けられた」「妹・弟が悪いときにでも、叱られるのは私ばかり」「妹・弟は要領よく叱られるのを免れたり、親に甘えたりしてずるい」などと感じて育った長女は多いかもしれませんね。

 第一子の場合、育てる側の親も“親・一年生”なのです。不慣れなことは否めないでしょう。

 人格形成上、親の影響を最も強く受けるのは、長女です。

 長男も長子ということに変わりはありませんが、養育を主に行う母親と、長女は同性です。母親と同性であることで、受ける影響は、異性である長男よりも強くなります。

 しかしながら、なにもかも“初めて”の人間同士として、親と向き合う時間があったのは、やはり長女の特権。

 不器用と言われることもあるかもしれませんが、親とともに「初めて」を体験し、共有することを重ねて育ってきた長女は、ピュアに、そしてタフに物事に向き合い、切り拓いていく力を備えています。また“切り拓く”体験を通して、しなやかなレジリエンス(復元力)も培われやすいでしょう。