読むとつい料理したくなる 「きのう何食べた?」
同じグルメ系マンガでも、読めば読むほど料理したくなるのが「きのう何食べた?」です。主人公・筧史朗は弁護士。高給取りながら、ファミリータイプの地味なマンションに住み、安い食材をやりくりした自炊が趣味という史朗。その理由は、40代にはとても見えない芸能人並みのスタイル維持のため、そして「子供に面倒見てもらうなんて未来のないゲイが、頼りになんのは金だけだろが」という事情があるため。恋人の美容師・ケンジと食べる、一汁三菜、しかも甘じょっぱい・しょっぱい・酸っぱいのバランスを取った夕飯や、時にはパウンドケーキ、おしるこまで作ってしまいます。
ゲイカップルの日常を描きながら、ラブ要素は少なめ。ベタベタしたがるケンジを冷たくあしらうこともある史朗ですが、ケンジのいない夜に作ったナポリタンを食べながら「そういえば、一人の時は結構こんなもんだったなあ、夕飯なんて」「ケンジと暮らしているから、俺も毎日ちまちまおかず作ってんのか」「ちょっとは大事にしなきゃな」と考えたりもします。
たけのこなど旬の食材を使った料理や、クリスマスのイベントメニューまで、さまざまな料理が紹介されており、レシピ本としても使えるマンガです。節約という史朗のモットーから、めんつゆや輸入肉など手を出しやすい食材が多く使われているのも魅力的。食べたいものを考えながら買い出しに行き、何時間も手をかけて料理を作る。そんな休日も案外ぜいたくかもしれません。