【質問7】「食べる女」で演じられた「米坂ツヤコ」は、二人の子どものお母さんで夫とは別居中という設定です。どんな気持ちで演じられましたか?

【回答】娘のことをすごく考えるお母さんだと思いました

 ツヤコが子どものことをすごく考えているお母さんだということは、役の中で大事な点だと感じていました。台本を頂いて思ったのは、子どもたちが「子ども」としてちゃんと映るように、私の役があるのだということです。娘はすごくしっかりした子なのですが、お母さんのツヤコは少し頼りないんですよね。ツヤコは仕事も子育ても自分のしたいことも頑張る人なのですが、どこか危うい感じがある。お母さんが娘を「しっかりした子に育てた」というよりも、お母さんの危うさが、娘のしっかり者で優しいところを育ててくれたのかなと感じました。

映画「食べる女」で米坂ツヤコを演じた壇蜜さん
映画「食べる女」で米坂ツヤコを演じた壇蜜さん

【質問8】自分の機嫌をよくするために工夫していることはありますか?

【回答】機嫌が悪い人を見ます

 機嫌の悪い人を見ると、「自分の機嫌は自分で取らないとダメだな」と思わされます。機嫌は自分で直すのが正しいと思っていて、そのためには不機嫌で、みっともない人を見ればいいんです。そういう人を見ていると、「必死で物事をかなえようとしてきたけれど、それがかなわなかったり、何か言われたりしたら、こうなっちゃうよね」と、機嫌が悪い人に愛おしさを持てるようになります。だから、許すために見るという感じですね。

 機嫌の悪い人は、自分で直す気がないから手に負えないんです。私も「代わりはいくらでもいる」とか「お前は安っぽい」と言われたことがあります。でも、「それを言われても、私は普通さを保てているからいいや」と思うと、今日を納得して締めくくれる気がするんです。

 何かいいことがあってうれしくて、「明日もいいことがあるといいな」と思えるのは、20代前半くらいまでですかね。一日何事もなかったことに感謝して、神棚に向かって手を合わせて「明日もよろしくお願いします。明日も見守っていてください」と言うような時間が生まれたとき。そういうときに、明日もやっていこうとか、何とか生きる線を保っていこうみたいな気持ちが生まれると思うのです。それが私のモチベーションにもなっているのかもしれません。