タレント、女優、そして文筆活動と多彩な活躍をされている壇蜜さんですが、「自分のために何かをして、ステップアップさせていく行程が合わなかった」と過去を振り返ります。今の壇蜜さんをつくってきた経験や、お仕事で大切にしていることとは? 10の質問で迫ります。壇蜜さんが出演している9月21日公開の映画「食べる女」にちなんだ、「食べること」についてのお話も聞きました。

9月21日公開の映画「食べる女」に出演した壇蜜さん

【質問1】映画「食べる女」では、登場人物たちが食べるシーンがたくさん出てきますね。壇蜜さんにとって、「食べる」こととは?

【回答】食べるまでの過程が好きなのだと思います

 みんな生きるために食べているので、「食べることが好き」かどうかは判断しづらいなと思うんです。だけど、何を食べるか考えたり、食材の買い物をしたり、料理をするのは好きです。料理をするときって、「今やっている作業と洗い物を同時にできるかな?」と、手順を組み立てて効率よく作る方法を考えますよね。それがうまくいったらうれしいし、うまくできなかったとしても、料理なら繰り返し挑戦できます。そうやって積み重ねた時間の成果が料理ですから、完成したものを食べることは「当たり前」で、その結果に至るまでが好きなのでしょうね。

【質問2】人生の分岐点となった出来事を教えてください

【回答】水商売のアルバイトをした時のママの言葉です

 20代前半の頃、水商売のアルバイトを少しだけしていました。その時、お店のママに「あなたはよく、お客さん取ってきてくれるね。お客さん楽しそうにしているからうれしいわ」と言われたのです。ママのヘルプとしての仕事は、援助交際のような未成年の性を売りにするものとは違い、成人した大人として成り立っている仕事です。その仕事を評価されたことで少し自信がつきました。

 「私は自己実現を少し放棄して、人のいびつさや、人の持っているものに合わせて生きていったほうが楽だな」と感じたきっかけでもあります。以前働いていた遺体修復師の世界も芸能界も、我を通さなくていいし、我を生まなくていい世界なのには助かりました。他人の気持ちに自分を同調させる仕事が向いているのですよね。同時に、今までやっていた「自分のために何かをして、ステップアップさせていく」という行程がいかに合っていなかったかも、この言葉でよく分かりました。

 水商売は「お客さんにお酒ついで、楽な仕事でしょ」と言われますが、楽にもできるし、苦労することもできます。あえてお客さんに振り回されてみたり、疲れてしまうことに挑戦してみたりする無謀さも、そこから生まれたのかもしれません。あの頃はとにかく仕事に必死でしたが、もらってよかったといまだに感じる言葉です。