【質問7】仕事に欠かせない愛用品は何ですか?

【回答】デッサンのための色鉛筆です

 仕事ではデッサンが欠かせません。装飾のイメージがお客さんに伝わるように、一つ一つの仕事で必ずデッサンをしているんです。装飾をする場所と全く同じ部屋があるわけではないので、写真よりもイメージが伝わりやすいと思ったのがデッサンを始めた理由です。

装飾のイメージを伝えるためにデッサンを始めました
装飾のイメージを伝えるためにデッサンを始めました

 その時に使っている色鉛筆が必需品ですね。数種類持っているのですが、今日持ってきたのは、水でぬらすと水彩絵の具で描いたようになる色鉛筆です。グリーンだけでも何種類もあり、木の色も赤みが強い色から渋めの色まであるので、ちょっとしたニュアンスを伝えるのに便利です。

グリーンだけでも何種類もある色鉛筆。水でぬらすと水彩画のようになります
グリーンだけでも何種類もある色鉛筆。水でぬらすと水彩画のようになります

【質問8】影響を受けた本はありますか?

【回答】星野道夫さんの「旅をする木」です

 アナウンサー時代に読みました。5年目くらいだったと思います。当時は都会の真ん中で暮らしていて、周りも同じような感じだったので、それが人生だと思い込んでいたんです。でもこの本には、アラスカの、手付かずの自然がたくさん描写されていました。私は四季も感じないような都会で一生を過ごそうとしているのに、同じ地球の同じ時間帯にも、地球の裏側には大自然があって、いろんなものを見たり、触れたりする人がいたのだと知ったことは衝撃的でした。もう一つの人生を考え始めるきっかけの一つになった本です。

 私は花を束ねるときに、「自然の風景を感じられるような作品」にすることを心掛けているんです。「都会で息が詰まりそうになっていた自分が、一輪の花で自然の雰囲気を感じられたように、都会の人に自然の風景を感じてほしい」「今、自分が過ごしているのとは違う時間軸があることを伝えたい」と思っているんです。そのときには、この本に出てきたアラスカの短い夏に野花が咲き誇る風景の描写や写真を思い出します。