【質問7】仕事をする上での愛用品はなんですか?

【回答】仕事だけではありませんが、眼鏡は必需品です

 一つ目の会社を辞めた時の退職金を使って、レーシック手術をしたんです。視力が回復したら「世界はこんなにまぶしかったのか!」と思うほど直射日光がこたえるようになり、外出時にはサングラスが欠かせません。普段かけている眼鏡はすべて、度なしの調光レンズ入りです。

 少し派手なデザインの眼鏡は華やかなアクセサリーの代わりになる。新刊の「タダほど高いおしゃべりはない」という章に書いた通り、個性的な眼鏡をかけていると、道端でいきなり知らない人から褒められたりするので気分もいいです。英語が苦手な私にとっては、いい会話のきっかけにもなりますし、嫌なことをはっきりNoと言うときの、防御壁のようにもなる。新しい環境で暮らす中で、眼鏡に「キャラ立ち」を助けてもらっていると思います。

「少し派手なデザインの眼鏡は華やかなアクセサリーの代わりになる」と岡田さん
「少し派手なデザインの眼鏡は華やかなアクセサリーの代わりになる」と岡田さん

【質問8】影響を受けた本はありますか?

【回答】「にほんご」(安野光雅 大岡信 谷川俊太郎 松居直 編/福音館書店)と「『日本人』をやめられますか」(杉本良夫/朝日文庫)です

 「にほんご」は、安野光雅や谷川俊太郎らが作った新しい国語の「教科書」で、多大な影響を受けました。言葉とビジュアルを組み合わせ、あの手この手で「日本語」という一つの概念を知る面白さを伝えています。書き手として、編集者として、またデザイナーとしても、「こんな本を作りたい」と思うお手本の一つですね。

 「『日本人』をやめられますか」は、オーストラリア在住の社会学者である杉本良夫さんが、現代日本を考察した本です。高校時代に読んで強く印象に残りました。当時は自分が海外で暮らすとは思っていませんでしたが、この本を通して、海外に暮らしながら日本とつながりを持つ感覚を想像できていたのだと思います。古い本ですが、現代社会につきまとう排他的ナショナリズムの傾向に触れるたびに思い返します。

 自国の文化を考えたり、母国語でものを書いたりするときは、少し距離を置いたほうがうまくいくんです。旅行でも留学でもいいのですが、海外に行くと、日本国内にいて、日本人同士でコミュニケーションを取るのとは全く違う環境に身を置くことになります。そうすると、「日本だけがすべてではない」と実感するんですよね。日本を離れている時のほうが「日本って何だろう」と強く考えるようになります。