【質問10】新しいことを始めるときに心掛けていることは?

【回答】独学で始めないこと

 私はもともと体が強くありません。体力に限りがあると感じているからこそ、時間を有効に使うことを心掛けています。例えば、何かをスタートするときには、お金を出してプロに習うことにしています。タダより高くつくものはない、タダより時間を無駄にするものはないと思っているからです。

 現在続けている英語の勉強と骨盤体操も、やり方や進め方のコツをプロに習ってから始めました。正しい方法や手順を知ってから始めたほうが効率もいいし、成果も上がると思います。

 昨年は、「1年間洋服を買わない」ことに挑戦しました。知り合いの編集者の女性が実行していて興味を持ったのですが、絶対にできないだろうと思っていました。というのも、私は洋服を見たり買ったりするのが大好きで、待ち合わせまで15分、20分と時間があれば、その間に買い物をしてしまうタイプだったから。そこで、最初は期限を「100日間」に設定し、「洋服以外の小物と下着は買ってもいい」「人前に出るときに着る衣装は買ってもいい」という自分なりの逃げ道も用意してスタートしました。

 チャレンジを見事達成した彼女に教えてもらった基本ルールは、「1年間ファッション誌を買わないこと」「1年間洋服を買わないこと」「毎日コーディネートを記録すること」の3つ。そこに彼女もいくつかの逃げ道を作っていました。もし、それらを知らずに「とにかく洋服を買わない!」と頑張っていたら、ただただつらいチャレンジになり、終わった途端にリバウンドしてしまったかもしれません。

 100日からスタートしたチャレンジは、楽しさが増してきて最終的に1年間継続することができました。新しい服を買わないだけで、自分の本当に好きなものが見えてくるのでおすすめですよ。

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 自分をご機嫌に保つための人間関係のコツや、時間を大切にする心掛けなど、さまざまな工夫をお話ししてくださった松尾さん。小さなことでもまずは挑戦してみることが、なりたい自分に近づく方法のようです。

聞き手・文/飯田 樹 写真/品田裕美

松尾たいこ(まつお・たいこ)

アーティスト・イラストレーター。短大卒業後、地元の自動車会社に11年間勤務し、32歳で上京。イラストレーターに転身。「クライマーズ・ハイ」(横山秀夫著/文春文庫)をはじめ、これまで手掛けた本の表紙イラストは300冊以上。近著に「35歳からわたしが輝くために捨てるもの」(かんき出版)、「クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない!」(扶桑社)がある。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。公式ブログ「軽やかHAPPY LIFE!旅するように暮らす私とファッションと