育児と介護などが同時に発生する「ダブルケア」。高齢化や晩産化でより身近な課題となってきています。ダブルケアに関する調査2018(ソニー生命調べ)によると、ダブルケア経験率は全体の約3割に。「育児より介護が先に始まった」「想定外の支出がある」といった実態から、備えの重要性が浮き彫りになりました。

【調査概要】
◎調査対象:ダブルケアを経験したことがある大学生以下の子どもを持つ父親・母親
◎調査期間:2018年2月28日~3月5日
◎調査方法:インターネットで全国調査
◎有効回答数:男女1000人
◎調査:ソニー生命保険、相馬直子(横浜国立大学)、山下順子(英国ブリストル大学)

ダブルケアって何? 認知度は約2割

 ダブルケアとは、「子育てと親・義親の世話・見守り・介護が同時期に発生する状況」のこと。全国の子育て世代の男女1万7049名に、「ダブルケア」について尋ねたところ、「ダブルケア」の認知度は18%となり、社会全体に浸透しているとは言いづらい状況であることが分かりました。ダブルケアに直面している人は16.3%、ダブルケアを経験したことがある人は29.1%でした。

「必要なときにお手伝い」が最多

 経験者に親や義親のケアに対して、どのように関わっているか(いたか)を聞いたところ、「必要に応じて手伝っている」が最も多く47.9%に。次いで、「愚痴を聞くなど精神的なケアをしている」、「定期的に手伝っている」、「中心となって世話・見守り・介護をしている」と続きました。

 男女別に見ると、「愚痴を聞くなど精神的なケアをしている(していた)」は男性と比べ女性が多く、話や愚痴を聞くことによるストレス軽減の精神的ケアをしている女性が多いようです。

6割の女性「自分しかいなかった」

 世話・見守り・介護を中心となってしている(していた)人(205人)に、中心となって関わる理由を尋ねると、「自身の希望で主に関わりたい(関わりたかった)」が52.7%、「自分以外に主にできる人がいない(いなかった)」が47.8%となり、自身の希望で中心的に関わっている人が多いようです。

 しかし、男女別に見ると、女性では「自分以外に主にできる人がいない(いなかった)」が62.4%となり、「自身の希望で主に関わりたい」(43.0%)を上回る結果となりました。

育児中に介護がスタート

 経験者に、自身が関わったダブルケアについて、育児と介護のどちらが先に始まったか聞いたところ、「育児が先だった」が約8割で最多。「介護が先だった」が1割程度となりました。育児中に親の介護が必要になったという人が多いようです。

 年代別に見ると、30代では「育児が先だった」が7割を超えていたものの、「介護が先だった」も2割近くいて、40代や50代より多い現状でした。過去にダブルケアを経験した人にどのくらいの期間、ダブルケアを行っていたかを聞いたところ、平均期間は3.9年でした。