もしもネット通販でクレカ不正使用被害に遭ってしまったら

 次に、一般社団法人日本クレジット協会 消費者・広報部の塩谷栄一部長、セキュリティ対策推進センター主任の大杉耕平さんに「ネットショッピングでのクレジットカードの不正使用被害に遭ってしまったら、どうしたらいいのか」お話を伺った。

 「やはり、一番の防止策は日頃の心構えとして、サイトにログインするためのIDとパスワードの使い回しをしないこと」と塩谷さん。「不正にアクセスされたということは、そのサイト内に登録されている住所や電話番号、購入履歴などの個人情報も盗まれている可能性があるということです。IDとパスワードの使い回しをしていると、それらでログインした複数のサイトで個人情報が盗まれる危険があります。その中にカード情報が含まれていれば、カードの不正使用にもつながります。そうならないためにも、IDとパスワードの使いまわしは絶対にやめましょう」。

 そのほかに、何か防げる方法はあるのだろうか。大杉さんは「ネットショッピングをするときは、セキュリティー対策がしっかりしているサイトを選ぶことも大切です」と話す。

 確認ポイントとしては、

1.「SSL/TLS」などのセキュリティー技術が導入されているか?

 対応しているサイトは「https://~」と表示され、ブラウザ下部に鍵マークが表示される。
 (ブラウザの種類やバージョンによって鍵マークの位置は異なります)

2.クレジットカード番号や有効期限以外の本人確認のための「追加情報入力」が導入されているか?

・3Dセキュア(あらかじめカード会社に登録したパスワードの入力)などの本人認証サービス
・クレジットカードの裏面もしくは表面に記載されているセキュリティーコードの入力

 (C) PIXTA
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 しかし、それでもクレジットカードが不正に使用されてしまったら、どうしたらよいのだろうか。「万が一、身に覚えのない利用に気がついた場合は、速やかにご利用のクレジットカード会社へ連絡してください。クレジットカード会社は必要な調査をしますが、ご本人に責任がない利用だと判明すれば、支払いの請求はしません」と塩谷さん。「そのためにも、日頃からクレジットカードの利用明細に目を通し、確認しておくこと。これが重要です」。

ネット通販でクレカ不正使用被害に遭わないための3か条

1. IDとパスワードの使い回しは絶対にしないこと
2. セキュリティー対策がしっかりしているサイトを選ぶこと
3. 日ごろからクレジットカードの利用明細に目を通す習慣を付け、万が一身に覚えのない利用があった場合は、速やかにクレジットカード会社へ連絡すること

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 取材を終えてから数日後、クレジットカード会社から正式に不正使用の被害を認めるという連絡が届いた。2万7000円は無事に返金されることになったのだ。

 ネットショッピングは私達の生活の一部となっているが、100%安全ではないということ、そして「自分だけは大丈夫」と過信しないことが肝心だと痛感した体験だった。

 とはいえ、ネットショッピングは便利で楽しいもの。日ごろから万が一のことに備え、自分の身は自分で守る習慣を身に付けたうえで利用できたなら、ネットショッピングはより快適なサービスになるはずだ。

文/青木ゆうこ 写真/PIXTA