春バテの要因は、気象環境と生活環境の変化

 東京有明医療大学の川嶋朗教授によると、「激しい寒暖差や春特有の環境の変化などが原因となって、自律神経が乱れ、『だるい』『イライラ』『やる気が出ない』などの症状が現れることがあります。このような症状を春バテと呼びます。また、『昼間眠い』『目覚めが悪い』『夜眠れない』などの睡眠の不調が現れるのも春バテ特有の症状といえます」。

 調査元のウーマンウェルネス協会によると、春バテの要因は大きく二つあります。

 一つは「春特有の気象」。春は寒暖差が激しいため、交感神経が優位になり、相当量のエネルギーが消耗されるため、疲れやだるさを感じやすくなります。また、薄着になることから身体が冷え、血の巡りも悪くなります。さらに、気圧がめまぐるしく変化する春は、自律神経の切り替えがうまくいかず、低気圧の影響で昼でも眠くなったり、体がだるくなったりします。

 もう一つは「生活環境の変化」。春は自分や家族の生活が変化する季節(入学・転勤・異動など)。そのため緊張感やストレスが生じ、自律神経が乱れて春バテになりやすくなります。

春バテ予防&対策は、温めることがポイント

 それでは、春バテの予防と対策はどうすればいいのでしょうか。

 自律神経を整え、交感神経と副交感神経の切り替えを適正に行うことがカギです。また、ストレスをためず、身体が冷えたら温めることも大切。具体的な4つの方法をご紹介しましょう。

目元を温めてリラックス

 目元を温めると、短時間で副交感神経が優位になり、リラックスできます。蒸気を伴うアイマスクや蒸しタオルで約40℃で温めましょう。

ぬるめの炭酸入浴でリラックス

 炭酸ガス入りの入浴剤を入れた38~40℃のお湯に10~20分漬かると、自律神経が整い、心身がリラックスモードになります。週5日以上行うのが理想です。

外出時の冷え対策

 春は薄着になりがちなので、冷え対策としてストールや上着などを携帯しておくと便利です。

目元・首元を温めて睡眠の質アップ

 スムーズで深い眠りを誘うには、就寝前に目元や首元を温め、副交感神経を優位にしてリラックスするのが効果的。リラックスできる上に、血の巡りも良くなってぐっすり眠ることができます。また、寝る前にアロマオイルでマッサージをしたり、ハーブティーを飲んだり、音楽を聴いたりするのもおすすめです。

 夏バテに比べて、あまり知られていない春バテ。その要因や対策をしっかり理解して、早めに対処することで、楽しい春を過ごしたいですね。

文/佐々木恵美