「そんなこと自分で考えろ!」と言われることは分かっている……。だけど、モヤモヤと考えてしまうささいなことを、小島慶子さんにぶつける本連載「小島慶子さんにこんなコト聞いちゃいました」。最終回となる今回は、なかなか人に聞けない&言えない生理について。昔から小島さん自身も悩んでいたそうで……。

Q.仕事に支障が出るほどPMS(月経前症候群)と生理痛がひどいです。かといって、男性上司に生理休暇を申請するのも気が引けます。正直に相談すべきでしょうか?

「生理の話はなかなかできないもの。その空気を変えたいですね」
「生理の話はなかなかできないもの。その空気を変えたいですね」

 働く女性のあるあるですよね。男性上司に言い出しにくいのはもちろんのこと、「使わなくても済む人がいる中で、生理休暇を申請する自分は弱虫」といった自責の念や、「生理で休む女って甘えてるよね」など女同士のけん制ムードも相まって、制度を思うように使えていない人は多いかもしれません。正直に申告したら、男性上司から「来月の生理はこのあたりだろ」と言われた人もいるとか(地獄)。それは論外だとしても、確かにそもそも生理がなんだかよく知らないという男性がほとんどでしょう。

 私は会社員だった頃はアナウンサーという仕事がそもそも生放送や収録で忙しく、休みにくい仕事だったので、生理休暇を取ったことはありませんでした。だけど労働者の権利として休みたいときに休んでいいはずだという思いがあり、常々上司には「休めないなら、働きません!」と断言しておりました。

 もし私が相談者さんの立場なら、上司に30分ほど時間をもらい、子宮の図などの資料を持ち込んで、できればホワイトボードも使いながら「女性の体のリズムというのはですね」と保健体育の先生よろしくメカニズムのレクチャーをします。で、「生理というのはですね、今月は妊娠しなかったから、もうこれいらねえわと子宮の内っ側の膜をですね、剥がして捨てるんです。で、その剥がれた膜と血液をですね、外に押し出そうと、子宮が思いっ切り収縮するんです。筋肉の袋である子宮がぎゅうぎゅう縮む。子宮頸管っていうほっそい管からドロドロを外に押し出そうとするもんだから、めちゃぎゅうぎゅう縮むんです。これが生理痛。で、どんな痛みかというとですね、満員電車で下痢の腹痛が襲ってきたこと、ありますか? つらいですよねえ。あの10倍くらいの激痛が絶え間なく続きます。またはステンレス製の先割れスプーンで腸の内壁をえぐり取られるような痛みが絶え間なく。同時にバールのようなものまたはくい打ちのハンマーで、腰の真ん中を背後から5秒に一回殴られるような腰痛もありましてね。はい、想像してみてください」など、ご自身の実感をもとに男性がイメージしやすい具体的な表現でお伝えすると臨場感があっていいでしょう。恥ずかしがって言葉を濁さずに、こうなってこうなってこうなるんです、人体ですから。と冷静に説明すると理解してもらいやすいかも。

 そもそも「生理休暇」って名前がネックでしょう。ドイツでは病欠する際、医師に証明書を発行してもらって会社に提出するそうですが(*)、プライバシー保護の観点から病名や休んだ理由は記載されないそうです。確かに、体のことはプライバシーですから、上司にいちいち言いたくないですよね。まして生理は言いづらい。生理の場合はいちいち診断書を取るわけにもいかないので、せめて取りやすいようにネーミングを「お察し下さい休暇」にするとか、心理的なハードルを下げて欲しいものです。

知ったかぶって「やっぱウィスパーだよね」

 私もいろいろな意味で生理には恨みがあります。

 まず初潮が遅く(中3直前)、女として最初の船出につまずきました。生理への憧れと強がりから、知りもしないのに「やっぱウィスパーだよね」と話を合わせ、「今日2日目なの」と、体調万全のくせにプールを見学して体面を保っていました。初潮に備えて後生大事に持ち歩いていたナプキンは待機し過ぎて袋も破け、かばんの底で無残な姿になっていました。

 一時期であれ、「思春期に誰もが普通にあることが自分にない」経験をしたことによって、いまだに女としての不全感があるんですよねえ。