専業主婦はスーパーリスキーだと心得ておく

「専業主婦は高度成長期の男たちを支える仕組みだったんですよ」
「専業主婦は高度成長期の男たちを支える仕組みだったんですよ」

 もしかすると世代的に読者の皆さんのなかには、「専業主婦」という生き方が、昔から存在しているように思う方もいるかもしれません。でも実際はそうではなくて、専業主婦というのは1950~60年代、高度経済成長期に男たちを24時間会社に縛り付けておくためのシステムとしてつくられたものなんです。

 でも2018年の日本では男一人で家族全員を養う賃金を得るのは難しくなってきているし、そもそも24時間働いたら人は死ぬ、ということにも気が付いた。若い世代の男性は、結婚するなら相手にも働き続けてほしいと思っている。時代が変わったんですね。

 にもかかわらず、「女の幸せ=家庭に入ること(できれば一流企業の正社員の)」という母親世代から刷り込まれた価値観だけが根強く残っている。だから皆さん、もうお母さんの言うことを真に受けなくていいんですよー。というか、もはや真に受けてると危ないかもしれませんよー。

 もちろん、専業主婦になるな! と言ってるんじゃないです。なりたい人はどうぞ。生き方は個人の自由ですからね。ただ、リスクを知った上でやってほしいと思うんです。

 というのも、専業主婦というのはリスクが高いんですね。何がそんなにリスキーかというと、特に子どもがいる場合、ある日突然シングルマザーになる可能性があるからです。

 なぜなら夫はロボットではないので、一生働き続けてくれる保証なんてないからです。旦那さんが亡くなるとか浮気されて別れるとか会社が倒産するとか鬱になるとか、本当にいつ、何が起こるか分かりません。社会から手厚く守られた専業主婦も、伴侶を失ってしまったら、弱い立場になることが多いシングルマザーになってしまう。母子世帯の8割が生活苦を訴えている(*)という調査結果もあり、悲しいかな、今の日本社会では女一人で子どもを育てることは極めて厳しいのが現状です。

 この構造自体、男性のお世話係をする女性を厚遇し、それ以外の女は自力でなんとかしろと言わんばかりですね(怒)。



「専業」でなく「兼業」、いろんなことに首を突っ込んでおこう

 そんな中で今よく言われているのが、「1本の太いつながりより、10本の細いつながり」という生き方です。

 滅私奉公で会社とだけつながっていれば家庭をおろそかにしても生きていける時代はとうに終わっています。そんなサラリーマンの生き方が変わったのと同様に、専業主婦も子育てに専念するのではなく、月数回だけ働いたり、いろんな友達とつながったり、気が向いたときにボランティアをしたりと、細く、多種多様なつながりを持つことがリスク回避になり、ひいては幸福度もアップするという考え方です。

 例えば一つのママ友グループとだけ付き合っていると、何かのトラブルで気まずくなったとき、他に話のできる人が誰もいなくて即座に孤立してしまいますよね。でもママ友も細い10本のつながりのうちの1本でしかないっていうくらいの関係の持ち方を常日ごろからしていれば、何かあったときに逃げ込める場所が多いし、いろんな生き方の人と接することができる。それが自分自身の糧になるわけです。

 以前この連載で紹介したソーシャルセクターでの活動も、細いつながりの1本としておすすめ。ここからわらしべ長者的にさまざまな人脈が得られますし、私自身、自分の子どもが生きていく社会の手入れをしておく、という意味で参加しています。

*ソーシャルセクターを紹介した過去記事「小島慶子さんに質問 猫を飼う&家購入=結婚遠のく?


 専業主婦願望のある方は、そんなふうに10本の細いつながりを意識してもらいながら、それでもやっぱり一度は働いておくことをおすすめしたいなあ。というのも、社会経験が浅い人をなかなか企業は採用してくれません。万が一働くことになったときに就職できる環境だけ整えておいてはいかがでしょうか。