スーツのあいつの休日私服問題

「彼のファッションセンスがイマイチだった場合、指摘できますか?」
「彼のファッションセンスがイマイチだった場合、指摘できますか?」

 あと社内恋愛だと、いつもスーツの彼の私服がどんなものか気になりませんか。私の場合は私服の人が多い職場だったので、逆に営業部なんかに行って久しぶりにスーツ姿の男性を見ると興奮が止まりませんでした。スーツは確実にステキ度が3割増しになります。仕事モードで3割増し、加えてスーツで3割増しですから、1.3×1.3=1.69で魅力がほぼ7割増しの姿を見ていることになりますね。

 ここで一つ、大変教訓になった友人の話をしたいと思います。

 私の友人である賢い女性が、大学の先輩の紹介で某エリート男性とお見合いをした時のこと。待ち合わせ場所に現れた彼は、当時のファッションとしては禁じ手だったセカンドバッグを小脇に抱えてきました。若い頃の私ならここできびすを返してしまいそうですが、その姿を見て彼女はこう思ったそうです。

 「セカンドバッグをお見合いの席に持ってくるということは、この人はオシャレに関心がない人なんだ。でもそれは裏返せば中身に自信がある証拠。自信がなくて身なりを気にしてチャラチャラしている人より、結婚するには断然いい」

 彼女の読みは見事に的中し、堅実に仕事をこなす夫と子どもと共に、幸せな家庭を築いています。

 特に若い時はどうしたって見た目で人を判断しがちですから、20代でこの考え方ができた彼女は本当に賢い人だと思いました。

 その一方で、彼のイマイチなファッションセンスを指摘した場合、そのリアクションで彼の本質的な素直さとか人間的な健やかさが見えてくるような気もします。

 「ほんと? 変だった? ありがとう。じゃあ今度君が服を見立ててよ」なんて返しが彼からあったら好印象ですが、もしムキになって怒ったりむくれたりしたら、ちょっと用心したほうがいいかもしれませんよ。

 変に屈折したりプライドが高かったりする人って、例えば家事のやり方を指摘したときにも、「俺がせっかく皿洗いを手伝ったのにお前がダメ出ししてくるからやる気なくした」みたいなへその曲げ方をする可能性がありますから。

 なので彼の私服が気になったときは、助言に対するリアクションを見るいい機会として「こうしたほうがいいんじゃない?」と言ってみるのはアリだと思います。

送別会で分かる噂好きな人

 そういえば私と夫も一応、職場恋愛でした。と言っても、ある番組で一度現場が一緒になっただけですが。

 交際を隠すつもりはなかったので、誰かに聞かれたら言おうと思っていたんです。でも世間的にも会社的にもついぞ私の恋愛が気にされることはありませんでした。だから楽でしたけど、ちょっと寂しかったのも本当です(笑)。

 同期に紹介してWデートもしたし、信頼していた上司にも早々に打ち明けていたので、今考えれば理解ある職場でしたねえ。

 そんな感じで恵まれた環境にいましたが、社内には「お前ダイソンかよ!」ってくらい人の恋愛や人事の話を聞き漏らさず、いち早くゲットする噂好きがいるもの。社内恋愛を隠さなければいけない人にとって、最も気を付けなければいけない存在がこういった類いの人たちでしょう。

 噂好きな人を見分けるには、送別会がベストです。

 送別会って、「なんで辞めようと思ったのか」とか、「まだ次は決まってないって言ってたけど、実はヘッドハンティングされたんじゃないか」とか、辞める人のことがいろいろ気になるわけですよ。で、ときどき「いなくなってしまう相手だからどう思われてもいいや」とばかりに、好奇心丸出しでひたすら詮索して回る人がいるんですねぇ。 送別される人そっちのけで出席者のゴシップをさらって歩いたりね。その手の噂好きには絶対に近寄らないようにしましょう。私はこれが嫌過ぎて、自分が会社を辞めるときには送別会を一切断りました。

 まあ人間不信になるほど警戒しなくてもいいですけど、自分の身を守るためにも相談する場合は相手を見極めて、心置きなく社内恋愛を謳歌してくださいね。

聞き手・文/小泉なつみ 写真/稲垣純也

◆修正履歴:本文の一部を修正しました。(2018年7月17日)