お土産問題にこだわる人ほど、人から嫌われることを気にし過ぎです

 結局、職場へのお土産問題や季節の挨拶に関する悩みは、他人からの評価を気にし過ぎていることに起因しているのではないでしょうか。そんな、人から悪く思われたくないという気持ちに加え、「私はあなたのことをこんなに思っています」と必要以上に伝えることが礼儀になっている日本独自の風潮が、輪をかけて我々自身を苦しめている気がします。

 2020年のオリンピック・パラリンピックを「おもてなし」で勝ち取ったわが国ですが、サービス業の「おもてなし」はお金を落としてくれる人が相手で、お客様に対してへりくだり、好意をアピールして高評価を得ようとするものですよね。でもオリパラが目指すバリアフリーな社会の実現のためには、自分にとって利益になる相手でなくても、互いに見返りを求めず、無理のない範囲で相手に手を差し伸べたり言葉をかけたりする「いたわり合い」が必要だと思うんです。

 ちょっと話が壮大になってしまいましたが、気の利いた年賀状を出すとか値の張るお土産を買うべきか否かなんてことは本来どうでもいい話になるべき。人から悪く思われないようにしようとか、自分を下げることによって相手への気持ちを示すとかってことから自由になったとき、相手と本当に気持ちいい関係が結べるような気がします。

聞き手・文/小泉なつみ 写真/稲垣純也