うちの母は熟年離婚をしましたが、母よりちょっと上の世代には離婚は人生の汚点、と考える人もいて、それが母を長い間苦しめてきたように思います。でも、今、父と離れて伸び伸びと幸せそうな母を見ると、結婚と家族に対する極端な神聖化の弊害を感じずにはいられません。

別々の道・別々の暮らしを選ぶ、ただそれだけ (C) PIXTA
別々の道・別々の暮らしを選ぶ、ただそれだけ (C) PIXTA

 また「離婚=失敗」という考え方にとらわれていると、例えばDVというようなどちらかの行為が原因で離婚を望む際にも、大きな障害になりかねません。誰もが望むタイミングで離婚できて、それを周囲も当たり前のこととして受け止める――そんな社会が真に成熟した社会といえるのではないでしょうか。

 結婚も離婚ももっとフラットに見られる社会になれば、アラサー女性が苦しんでいる「独身差別」が横行することもないでしょうし、なにより、夫婦が互いにいつまでもリスペクトし合える関係性が築ける気がします。

 結婚は我慢や忍耐で続けるものではないし、離婚は結婚の失敗でもない。これからの時代は、そんなふうに社会の意識、個人の意識が変わっていったらいいなと思います。

聞き手・文/小泉なつみ 写真/稲垣純也 取材日:2017年8月30日