さも自分が発見した情報のように振る舞う「手柄泥棒」

 例えば、おススメした情報や面白い話を、さも自分が見つけたネタかのように紹介していたり……、別にいいんですけど、そこに仕事が絡んでくるのなら、事前に一言欲しいです。私がラインで聞かれてオススメしたお店がまるっとその人のオススメとして雑誌に使われていたときはあぜんとしました。

 中学生のとき、Aちゃんという子に面白い話をしたら後日、そのAちゃんに「ねえねえ、面白い話があるんだけど……」と、自分がした話と全く同じネタを聞かされたことがありました(笑)。テレビで芸人さんが話した「すべらないネタ」を、まるで自分の体験のように話している人が合コンにいたこともありましたね……。私、けっこうお笑いが好きなんで「あ、これあの芸人さんの話じゃん」って気付いてしまうんですよ。もちろんその場で指摘はしませんが、その後、その人のことをなんとなく信用できなくなりますね……。

「小さい損」を重ねると「大きな損」を招く振る舞い

 こうして書き連ねてみると自分の器の小ささも感じてしまいますが、私も、決して出し惜しみをしたいわけじゃないんです。

 むしろ気持ちよく人を紹介してくれる人に対しては、私もいつかすてきな人を紹介して恩を返したいと思いますし、おいしいお店を誰かに教えてもらったら、その人が好きそうなお店をピックアップして伝えようと思います。

 つまり人間関係はギブ・アンド・テイクであって、互いに頼り合うことでよいコミュニケーションが生まれるんだと思っているんです。そういった意味で一方的に自分がもらうことだけを当然と思っている「くれくれちゃん」との付き合いは、しんどくなってしまうんです。

「くれくれちゃん」は一方的にもらう側。win-winという関係にはならない (C) PIXTA
「くれくれちゃん」は一方的にもらう側。win-winという関係にはならない (C) PIXTA

 「くれくれちゃん」はタダで情報をもらって得したような気になっているかもしれません。でも他人に頼ってばかりの一方通行の関係性は「小さい損」が積み重なっている状態なので、結局は人が離れていくなど、「大きな損」を招くような気がします。

 私も人に何かを相談することがありますが、そんなときは、自分が相手に代わりに与えられるものを、きちんと考えるように意識していきたいですね……。

聞き手・文/小泉なつみ 写真/小野さやか、PIXTA(イメージ) 取材日:5月30日